[552] 2005年09月27日(火)
「ダイヤルの必然性」
車を運転している時、カーオーディオの音量を変えたい時がある。
走行中の操作は無理であるから信号待ちなどで停車中に操作することになるが、信号のタイミングを気にしているとなかなか操作しづらい。というのも、最近のカーオーディオの音量調整はボタン式で、ピコピコと何度も押したりして手間がかかる。車の前方に気を取られていると焦ってボタンの位置を間違えてしまい、演奏がストップしたりMDやCDがイジェクトされてしまったりすることも珍しくない。
これが、ダイヤル式のボリュームであれば苦労は無いのだが。
今まで我輩は、コンポやラジカセなどのオーディオ関係では、音量調整について幾つかの方式を経験してきた。
先ほど書いたボタン式もあれば、スライドレバー式のものもある。当然、ダイヤル式のものもあった。
その中でも、やはりダイヤル式は使い易い。
ボタン式では、一回押すごとに少しずつしか増減を変えられない。もちろんボタンを押しっぱなしにすることで連続して変えることも可能だが(オートリピート機能)、一発で目的の位置に止めることは不可能である。少しずつ止めて調整しようにも、ボタンを押してしばらく待たねばオートリピート機能が働かないため、タイミングが非常に難しい。
スライドレバー式では、経験者ならば分かると思うが、意外にも微調整は難しい。
レバーをつまんだ指をそのまま上下(機種によっては左右)にスライドさせることになる。移動量やレバーの感触にもよるが、腕全体で動かすと微妙な動きが難しいのだ。ましてやクリックストップが一定間隔にあるタイプであれば、クリックポイントを通過する時のはずみで行き過ぎることもある。
それを防ぐには、手の腹をどこかに当てて固定し、指先だけでレバーを動かすことになる。
ダイヤル式では回転軸が固定しているため、手をどこかに固定する必要は無い。指先だけの操作で微妙な調整が可能である。
キュッと素早く回せばすぐに目的の位置に設定出来、行き過ぎたとしても戻るのも簡単。非常に合理的と言える。
確かに、見た目にはボタン式の操作系は"現代のもの"というイメージがある。それに対してダイヤル式の操作系は"過去のもの"というイメージがある。
それは、テレビ・ラジオや電話など一般家庭で使われている家電製品のイメージが影響しているのだろうか。
テレビ・ラジオは、チャンネルが決まっているため連続調整の必要は無く、また順列を持たせる必要も無いため、プリセットされたボタン操作が最も適している。
電話などは数字を入力するため、ダイヤル入力(パルス入力)はあまりに非効率であり、ボタン操作以外には考えられない。こちらもまた順列は関係ない。
そういうことから、現在では"ボタン式が現代型の証"という認識が広まっているわけである。
しかし繰り返すが、ダイヤル(電子ダイヤルも含め)は順列を持った数値が細かく刻まれたものに対しては非常に有用である。これは時代の新旧などに関わらず、普遍的なものとして認められるべきものである。
我輩は、どこもかしこもダイヤルでなければならないと言っているのではない。必要な場所にダイヤルはあるべきだ、と言いたいだけだ。
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