2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[541] 2005年07月21日(木)
「フラッシュマチック」

先日、職場の我輩宛に電話がかかってきた。
出向元の営業T氏だった。

「忙しいとこスマーン。もし出来ればちょっと仕事頼まれてくれんかー。」
「またっスか。」
「わりーね、今度おごるわ。」

どうやら、お客の個人的な用途の印刷物らしい。金が無いということなので業者に出せないようだ。だから我輩のチョイ仕事を期待して電話してきたのである。
まあ、確かに我輩の手にかかれば5分で出来るような仕事であった。簡単な絵とロゴのトレースをして印刷版下用データに仕上げるというもの。確かに業者に頼むほどでも無いので、こちらで面倒見ることにした。
下絵はファックスで受け取った。

「これって自動車のチームステッカーですかね。」
「そうらしいわ。で、これをパウチッコして納めるんや。」

一瞬、我輩はピクッと反応した。

「パウチッコ? そっちにラミネートパウチする機械があるんスか?」
「おぅー、あるでー。」
「・・・実は、やってもらいたいものがあるんスけど。」

数日後、我輩はT氏に頼んだラミネートパウチ化されたカードを手にした。
「これを、今度使おう。」

・・・・・・

ところで最近、我輩はストロボ撮影について試行錯誤を繰り返している。
今さら言うことでもないが、ストロボ撮影というのはなかなか難しいものだ。何しろ瞬間的にしか光らないため、測光や制御は定常光とはまた異なる考え方をせねばならない。

もちろんデジタルカメラを使って事前確認を行えば簡単な話なのだが、雑文537「行き過ぎた進化」でも書いたとおり、我輩は"脱"デジタルカメラを目標とし動き始めた。
デジタルカメラに依存し過ぎる我輩の現状は、極めて危険でバランスを欠いているのである。

さてストロボについて、元々我輩は特定機種専用の高機能ストロボはあまり好まない。
確かに、専用ストロボはTTLによる自動調光が可能であり、中には定常光とのバランスをとってくれるものもある。だが、我輩には「ストロボは消耗品だ」という意識があるため、専用ストロボに依存してそれが使えなくなった時のことを思うと(専用ストロボは生産終了してしまえばその時点でアウト)、最初から汎用ストロボを前提として撮影方法を確立したい。
もっとも、最近多用している中判カメラでは専用ストロボなど用意されておらず、汎用ストロボしか選択の余地は無い。

汎用ストロボでは、ストロボ本体の受光部で外光調光を行いオート撮影を可能にしているものが多い。測光及び発光制御をストロボ側で完結させているため、カメラの種類は選ばない。カメラ側では、ストロボの指示するF値をレンズにセットしておけば良いのである。

しかしこれはTTLでの調光ではないため、被写体の見かけの大きさが小さい時には反射光の戻りが少なく露光オーバーとなる。特に広角レンズ使用時、その被写体が画面の真ん中におらず受光角から外れた場合にはフル発光になるケースもある。

また、外光調光だけの問題ではないが、被写体の反射率が18パーセントグレーからかけ離れている時(白、黒、金属面のような反射物など)にも露出の過不足が起こる。

ただ、ストロボは人工光であるため、光の量は分かっている。自分で光らせているのだから、周囲の条件に左右されるものではない。
そうなると、被写体までの距離さえ決まれば、被写体に当たる光の量はガイドナンバーによる計算で求められる。
この考え方に基づいた露出決定法が「フラッシュマチック」と呼ばれる手法である。

フラッシュマチックを用いたカメラは、昔の目測式コンパクトカメラに多い。ストロボで人物を撮るだけの用途には、ストロボ光受光素子と発光量を制御する回路を搭載するよりも、目測ピントリングと絞りを連動させておけば構造が簡単で済む。
中には一眼レフ用交換レンズとして、ピントリングと絞り環をブリッジで繋ぎ、撮影距離に応じた絞り値を連動させるものもあった(GNニッコール)。

しかしながら、フラッシュマチックは専用のカメラやレンズを用いなければなかなか面倒なもの。
撮影距離をピントリング上で読み取り、その距離数値をガイドナンバーで除するわけだが、例えばガイドナンバーが25で撮影距離が4メートルの場合、[GN25/4m=F6.25]となる。実際にはF6.25という絞りの目盛りは無いため、F5.6とF8の中間くらいかと考えて調整することになる。
しかし、いちいちその場で計算するのも大変である。しかも計算結果が細かくとも結局は絞り環に刻まれた指標に近いところを目分量で決めるのであるから、真面目に計算しても報われない。
そこで考えたのが、フラッシュマチック早見表である。

これは以前、コスプレ撮影会(参考:雑文530「コスプレ撮影会3(当日)」)で積極的に使い始めた撮影法なのだが、撮影スピードを優先させたためストロボのマニュアル発光用ゲージをそのまま使った。つまり、撮影時に撮影距離をレンズから読み取り、ゲージを見て絞り値へ変換する。

しかしながらガイドナンバーを固定し撮影距離に応じてF値を変化させる方法のため、どうしても定常光が増減する。もし定常光も重要であるならば(日中シンクロやスローシンクロの場合)、シャッタースピードもF値に応じて変えねばならない。
これでは迅速な撮影は不可能である。

そこで考えたのが、ガイドナンバーと撮影距離の二次元の表を作り、定常光の測光値から絞り値を決定し、その絞り値と撮影距離に適したガイドナンバーを読み取るのである。これならば、ストロボの発光量を調節するだけで良い。


ラミネートパウチした早見表

早見表では使用頻度の高い絞り値については色分けし、特定の絞り値のグループを一目で判るようにしてある。これにより、絞り値からガイドナンバー数値を読み取ることが素早く行える。
これはちょうどT氏から電話があったため、タイミング良くラミネートパウチすることが出来た。これにより、防水性・耐久性に優れたものとなり、カメラのストラップにでも付けておけば、いつでもすぐに活用出来る。

この早見表、早速、先日の夏祭りで豚児写真を撮る際に用いた。
広角レンズの中では、夕暮れの祭を背景にした豚児の画面に占める面積は小さく、外光調光ではフル発光(露光オーバー)になることは間違いない。
しかし今回のフラッシュマチック撮影ではそういう問題も無く、とても良く撮れていた。


1/15秒 F5.6 GN7.5

もっとも、定常光が主要被写体に当たっている状況では、ストロボ光を弱めにしないと光量の上乗せで露光オーバーになるので注意が必要。
そういうこともあり、まだ現状ではデジタルカメラを使わないと目隠ししているようで不安だが、実績を積んでいくにつれてその不安感も薄らぐに違いない。