2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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 FM3A
 FM2
 FM
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 FE
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 FE10
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カメラ雑文

[528] 2005年02月22日(火)
「入力装置と出力装置」

我輩は中学生の頃、科学部に所属していた。
そのため、放課後には理科室及び理科準備室は部員たちの支配下に置かれた。
部長はオカチン、部員は我輩とクラッシャー・ジョウ、そして強がり者Kである。後年、下級生も数人入ってくるのだが、最初のメンバーはこの同級生4人であった。

その日は土曜日で半どんだった(半どん="半分どんたく"という博多言葉である。"どんたく"は休日の意。)。
近所のお好み焼き店で昼食を食べた後、理科室に戻り、我々は直流モーターと発電機の実験装置を理科準備室から引っ張り出して遊び始めた。それは、ハンドルを回すと電気が発生する装置で、勢いよく回すと豆電球が光る。また、スイッチを切り替えて発電機に電流を流すと、ハンドルが勝手に回り出す。
「おもしれー!発電機がモーターになりよるわー。」
我輩には、入力装置が出力装置にもなることについて、妙な感動を覚えた。

ところでその日は、天気の良いのどかな土曜日の午後だったが、ただ一つ、耳障りなものがあった。
強がり者Kは、当時「幻魔大戦」とかいうアニメに入れ込んでおり、そのシナリオカセットテープを持ち込んで理科室で流しているのだ。ウルサイというほどでもなかったが、とにかく耳障りだった。

「ちょっと驚かしちゃろうや。(ちょっと驚かせてやろうじゃないか。)」
我輩とオカチンは、理科準備室からマイクを持ってきてそのラジカセに接続した。そして生録しているように装って強がり者Kに近付いた。テープが回転している状態でマイクが繋がっていれば誰もが録音中だと思うだろう。
「あ、こら、そのテープに録音しよるそか!やめろ!(あ、こら、そのテープに録音しているのか!やめろ!)」
しかし実際は単純に再生中で、マイクをヘッドホン端子に繋いでいるために再生中の音が出てこないだけである。
大成功。

イタズラ終了後、何気なくマイクのスイッチを入れてみると、なぜか音楽とナレーションが微かに聞こえてきた。音はマイクからのものだった。マイクがスピーカーの代わりとなり、音を発していた。
一同、その場で大爆笑。
「すげー!マイクから音が出ちょるわ!なんか笑えるわ!!」
入力装置が出力装置にもなるということは、先ほどのモーターの実験と同じであった。


その後、高校を経て浪人生となり、博多の予備校の寮に入った。
浪人する友人はほとんど北九州の予備校に通ったのだが、我輩は友人のいない博多で寮に入ることによって自分を追い詰め、勉強に専念することを目指した。
しかしあまりに勉強一筋というのはかえって効率が悪い。そこで、カメラ(Nikomat FT2)だけは寮に持ち込むことにした。その頃から既にリバーサルフィルムを使うことが多くなっていたのだが、リバーサルフィルムの鑑賞方法については悩みの種である。

「スライド映写機があればなぁ。」
我輩は自室の白い壁を見ながら思った。しかしスライドプロジェクターはそれなりに高価。しかも狭い寮の部屋には置き場所にも困る。
そんな時、中学時代の体験が思い浮かんだ。
「入力装置は出力装置にもなる・・・。」

我輩は早速、スライド(現像済みリバーサルフィルム)とカメラと懐中電灯を用意した。
カメラのウラブタを開けてシャッターを開放にし、フィルム位置にスライドをテープで貼り付け、後ろから懐中電灯で照らしてみた。予想通り、レンズから光が照射され、白い壁にスライドの映像が上下逆さに映った。
慌ててスライドの上下をひっくり返した。
今度は正常に映った。懐中電灯のフィラメントも一緒に壁に映っていたが、それでも上出来。

結局のところ、半年後に金をなんとか工面してミニサイズのプロジェクターを購入したのだが、それまでの間は、カメラを利用したプロジェクターは大いに役立った。

まさに、カメラという入力装置は、プロジェクターという出力装置に変身したのである。