[482] 2004年04月08日(木)
「今さら」
以前からその存在に気付いてはいたがあまり関心が無かったため、自分の意志でそのカメラの情報を収集することは無かった。
しかし昨日、ふとしたことでヨドバシカメラ店頭で手に取ってみた。
それは、一見35mm判レンジファインダーカメラかと思うようなデジタルカメラ。「Panasonic LUMIX LC1」である。
手に取ると非常に質感が良く、シャッターダイヤル、絞り環、ピントリングが配置され、説明書無くともマニュアル露出が可能である。
その時、ちょうど隣に置いてあったオリンパスの新型デジタルカメラ「C-8080 Wide Zoom」も触ってみたが、こちらはマニュアル露出ではシャッタースピードの設定方法しか分からず絞り調節の方法は分からなかった。
やはり一目見て機能が理解出来るというダイヤル式の利点は大きい。
我輩は、「Panasonic LUMIX LC1」のようなデジタルカメラが一番使い易いと感ずる。しかし、その登場はあまりに遅過ぎた。このようなカメラがなぜ今になって登場したのか、それが疑問であり、怒りでもある。
もったいぶるにも程があろう。
このような、単純で分かり易い操作系のカメラは、まず最初の段階でラインナップに加えられるべきであり、複雑を極めた後に口直しに出すものではない。しかも35mmカメラに似せたため図体が大きくデジタルカメラの良さが出ていない。少なくとも大・小あっても良い。
宣伝文句も「フルマニュアルデジカメ!」などと恩着せがましいため、印象としては非常に良くない。
そしてCanonやNikonがやるならともかく、家電のPanasonic(ナショナル)から出た製品というのが笑わせる。カメラメーカーの老舗として、カメラらしいところを家電屋に持って行かれたとは。
今まで、フルオートを主体とした使い方を強要し、マニュアル撮影については隔靴掻痒(かっかそうよう)、まさに靴の上から足を掻くかのような操作を強いる製品ばかりだった。液晶画面に頼った表示のためメニュー階層は深く、パソコンのようなマウスが必要なほど。
端から見ると、簡単明快な操作系のダイヤル方式を敢えて避けて通ろうとしているように見え、その様子が滑稽でもあった。
しかし今回、ダイヤルを避けて通ろうとしたらうっかり踏んでしまったようだな。
もちろん我輩は、全てのデジタルカメラがダイヤル式になるべきとは考えていない。少なくとも、現在の偏ったラインナップを正すには、ダイヤル式というのは一つの形式として認められても良い。
店員の話によると、「Panasonic LUMIX LC1」のOEMがライカブランドで限定発売されたとか。このようにキワモノ的扱いをされる限りダイヤル式は市民権を得ることは無い。
ただ単にプレミアやノスタルジーを動機としたカメラ買いはすぐに人を飽きさせるだろう。
理想を言えば、店員が客に対して目的別にカメラを提案出来れば良い。ダイヤル式はそれらの中で選択肢の一つとなる。
しかし現状では目的別に提案出来るほど製品の幅が無い。ほとんどの製品が同じタイプで、せいぜい性能の長短でしか語れない。結果として従来の液晶式が売れ続け、作られ続けるのみ。
今度の「Panasonic LUMIX LC1」が本気でダイヤル式を復活させようとした製品かどうかは疑問ではあるが、もし本気でヤル気があるのならば歓迎はする。
しかし、Panasonicはペンタプリズムの出っ張りを模したデジタルカメラを出しているメーカーであるから、今度も格好だけという気もしなくはない。ただ、これを一つの契機とし、各メーカーが間髪入れずダイヤル式を投入すれば、今までの歪んだ流れが少しは変わるかも知れない。
まあ、デジタルカメラに今さらそんな期待はせぬが・・・。
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