2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[468] 2004年01月30日(金)
「第九演奏会」

最近の文化世論調査によると、芸術鑑賞しないと答えた者は半数にも上るという。
その理由について、「時間がなかなかとれないから」という理由が減少し、「あまり関心がないから」という理由が増えているそうだ。

我輩自身は写真については芸術性を見出していないのであるが、かといって文化・芸術に関心が低下する現状は好ましいとは思わない。 そこで、芸術の一つである音楽鑑賞についての我輩の体験を書くことによって、少しでも関心を向上させることに繋がればと思った。
そういう意味では、今回の雑文は直接的に写真とは関連が無い。ただ、芸術に求める感動への理解について、写真分野でも何かのヒントになるのではないかという期待も込めた。

なお今回は、特に結論じみたことを書いてまとめるつもりは無い。我輩のエピソードを文章で追体験することにより、芸術の素晴らしさとそれを共有する喜びを少しでも感じてもらえたらと思っている。


まだ日本の景気が良かった頃、我輩の勤務先(今は出向元)では日本フィルハーモニーの特別会員となっていた関係上、毎年年末にはベートーベンの第九を聴くイベントが催された。言うなれば、福利厚生の一つである。
勤務を終えた後、会場のロビーでは本社地区の人間とその家族が集まり、普段は会う機会の無いそれぞれの家族と対面する。

我輩は最初、このイベントがつまらなく思えた。勤務を終えて疲れた身体で音楽を聴きに行くとは。
クラシックなどCDでゆっくりとくつろいで聴いたほうが気が楽であろう。癒やされるために聴く音楽であるのに、ネクタイ・背広姿のまま狭い席に座って音も立てず気を入れて聴けというのか?
最初のうちは回覧される参加希望者欄に不参加と書いていたものだ。

だが、根が貧乏性である我輩としては、全く参加せずにいるのはシャクでもあった。
「ま、とりあえず1度は行ってみよう。」その年はそう思った。
映画と同じで、1度行けばそれで十分。毎年行く必要は無い。

ところが実際に行ってみると、生演奏というのはCDの音楽とは全く違うことを知った。
CDの演奏では、いつでも止められすぐに再開出来るという気持ちのため気を入れて聴くことは無い。また時間の関係上、気に入っている部分のみを聴くような"つまみ食い"も多い。だがコンサートでの演奏は一度きりであるから聴き逃しせぬよう全神経を集中させる。そのため、ある種の緊張感を以て聴くことになる。そして全ての楽章を経ることによって、フィナーレで感動を最大限に盛り上げることにもなる(参考:雑文200「感動の素」)。

当時はまだ第九などあまり聴いたことが無く、知っているメロディはコーラスの部分くらいしか無かった。しかしそれでも、多くの楽器たちが長い物語を描き、それぞれに主張し合いながら、最後に一つにまとまって終わるという現場に居合わせた感動が肌で感じられた。まるで自分たちもその演奏に参加しているような、そんな気持ちにさせる。

演奏が終わった後、会場は大きな拍手に包まれた。我輩も拍手した。それは単純に演奏の技量を誉めるという意味では無く、感動を身体で表現したものであった。会場の多くの者たちは同じ感動を共有した。そしてそのことを確かめるように皆で拍手した。まるで、知らない者同士が「凄かったなあ」「ああ、良かったよ」と言い合っているかのよう。
それは、演奏後に続く聴衆たちの演奏とも言える。拍手無くしてコンサートは完結しない。
それ以来、我輩は毎年その行事に参加するようになった。

ところが景気が悪くなるとその行事は行われなくなり、せっかく毎年参加するようになった我輩も第九演奏会から遠退いてしまった。いくら生演奏の良さが解っても、"会社の行事"というきっかけが無くては「いつかそのうち」となかなか具体化しない。
そしてそのまま何年か時が過ぎた。

そんな時、きっかけは突然やってきた。
我輩も縁あって結婚し、新しく松戸に移り住んでそれほど経っていなかったと記憶している。
ある日、会社のメールに総務課からメールが届いた。
「会社の接待用チケット(第九演奏会)が2枚余ったので希望者に進呈します」とのこと。希望者はメールを出すわけだが、周りの者に訊くと皆メールを出したと言う。競争率はかなり高い様子。

その中のひとりに訊いてみた。
「どう書いてメール出した?」
「"第九チケット希望"って書きましたよ。」
そんなメールじゃダメだ。

我輩ならばこう書く。
どれほど第九の演奏会に行きたいかという情熱を表現し、そして妻を新婚旅行にも連れて行けなかったことについて触れ、「せめて演奏会に行かせてやりたい」と締めくくった。
あらためて読んでみるとかなりクサい文章だったが、モノは試しとメールを送ってみた。
すると数日後、「おめでとうございます」というタイトルのメールが総務課から届いた。
正義は、勝つ。

そしてそれが直接のきっかけとなり、毎年年末には第九のチケットを取りコンサートへ行くようになった。

ヘナチョコ妻は第九をあまり聴いたことがなかった様子で、一緒に行っても途中でコックリコックリする。
2000年の年末は渋谷のオーチャード・ホールに第九を聴きに行ったのだが、その時もヘナチョコは意識が遠退いた様子だった。
コンサートが終わった後、2人で人混みの中を渋谷駅に向かいながら話をした。

「居眠りしてたろう。」
「でも途中で聴いたことのある部分があった。その時は起きてた。」
「それは第三楽章だろ?」
「さあ?」
「第三楽章のはず。」
「・・・なんで?」

我輩は自宅の部屋で、いつも第三楽章の部分をリピート再生していた。
ヘナチョコの居る部屋へ聞こえるよう、わざとドアを開けボリュームを調整して少しずつ覚えさせていたのである。
そのことを教えてやるとヘナチョコは、「だって去年から聞こえてたような気がするけど・・・」と言った。
よく覚えているな。これは1年間の教育計画だったのだ。

しかし2人でコンサートへ行くのは経済的負担がかなり大きい。
また、我輩は出来れば何度でも行きたいのだが、その度にヘナチョコを連れ回すのも気が重い。
結局、去年末〜今年始めは1人で出掛け、幾つも第九コンサートを廻ることにした。1人であれば、最小限の費用で最大限の回数をこなせ、しかも身が軽い。自分一人だけの予定を考えれば済み、1つだけ空いた席を演奏日直前に取ることも出来たりする。

便利な時代になったもので、今はインターネットからチケットが購入出来る。
画面上でクレジットカード決済が済むとその場でチケット番号が発行され、その番号を最寄りのファミリーマートの端末へ打ち込むと印字されたチケットが手元に入る仕組み。タイムラグは人間の手続きのみである。

我輩は、とりあえず年末のコンサートをスケジュールに入れることにした。だが年末は空席が少なく、何とか2回分のチケットを購入。
1回目は、池袋にある東京芸術劇場(夜)。2回目は、上野にある東京文化会館(昼)。
当然ながら写真撮影は禁じられているため、演奏が終わった直後の拍手の嵐の中でサッとFUJI GA645Wiを取り出しプログラムAEにて-0.5EV補正をして素早く撮影した。マイナス補正をしたのは、舞台は明るいものの周囲が暗いためオーバー値が出るからである。


池袋/東京芸術劇場S席(2003.12.19)



上野/東京文化会館B席(2003.12.27)

しかし年が明けても1度は聴きたい。そのため色々と探して予定の合う2月のコンサートの席を押さえた。
だがそうなると欲が出て、1月にも行きたくなってきた。インターネットで探していると、船橋の第九コンサート案内へ行き着いた。
演奏は音楽大学、コーラスは船橋市民によるものらしい。チケットは全席自由席となっており2千円と格安。当日券さえもあるようだ。前年の演奏会の様子が個人のホームページで紹介されていたが、いつもは6〜7割の入場者数ということで、よほど人気が無いのか。
これならば当日券で十分だと思われた。

当日1月25日、我輩は写真掲載サイトの掲示板にて前日から始まった論争の渦中にいた。そのため少し寝不足気味であり、この日の船橋コンサートはパスしようかという気持ちが出たり引っ込んだりしていた。
しかし、とりあえずの反論を書込み終わった時点で、間に合うか間に合わないかというボーダーラインだったため、思い切ってそのまま家を出た。
穏やかな昼下がりだった。

乗り換えは2回必要だったが、現地へは思ったより早く45分くらいで到着。
ところが会場前には立看が置かれており、「前売り完売のため当日券は立ち見となります。」と書かれていた。
「た、立ち見か・・・。」
ロビーを見ると、多くの者が行列を成しており、その行列が無くなった時点で初めて当日券を発行するとのことだった。当日券向けの行列も別にあったため、我輩はそこに並んだ。
電車でも立ったまま、行列でも30分近く立ったまま、そして入場しても立ったままか。かなり疲れそうだな・・・。我輩は、ここに来たことを半分後悔していた。
「どうせ当日券だったのだから、家で寝ておれば良かった。」

ようやくチケットを手に入れて会場に入る。立ち見であるから、早く行った方が良いのだが、トイレに寄って会場入りした。
まず2階席のほうへ行き、後ろの通路に立とうと思った。しかし2階席の通路は後ろには無かったため、仕方無く1階へ降りた。後ろの真ん中のほうへ行きたいのだが、立ち見の人間は多かろうと諦め半分で入った。ところが意外にも立ち見は真ん中には2〜3人しかおらず、残りは左右に偏っていた。不思議だったが、真ん中の場所を確保することに成功。

さて、疲れを最小限にするために後ろの壁に寄りかかるようにするか・・・などと体勢を整えていると、目の前の席、つまり最後列の席に座っていた老人が後ろを振り向き我輩に声を掛けた。
「ここ空いてますよ。」
老人は、隣の空いている席を指さした。
「えっ、いいんですか?」
我輩は遅れて入ってきたため、他の立ち見客のことが気になったが、我輩に声を掛けてくれた厚意に感謝して席に座らせてもらうことにした。
「いやー、どうもありがとうございます。私は松戸から来たんですが、こんなに混んでいるとは・・・。」
「松戸ですかー。それはそれは。」
我々は、演奏が始まる直前まで色々と会話した。
品の良い老人で、どうやら知人がこの第九演奏会に関わっているようだった。リハーサルの話なども聞かせてもらったりした。

さて演奏中は、席に座らせてもらったため疲労も無く演奏を聴くことに集中出来た。しかし、演奏後にカメラを取り出して撮影するのはやりにくい。席を提供してくれた老人への印象が悪くなるだろうか。
ところが第三楽章が始まる前にコーラスが入場してくるタイミングで、老人の向こう側の席のほうで「ピポパッ」という電子音が聞こえた。確か、あれはFUJIのデジタルカメラ「ファインピクス」の起動音だったような・・・。横目で見ると、確かにデジタルカメラで何枚か撮影している男性が見えた。まあ、ストロボさえ焚かなければ大丈夫か。
我輩は少し気が楽になった。

演奏は第三楽章から第四、第五楽章へと突入し、クライマックスを迎えた。
その時、ホールを閃光が一瞬照らした。恐らく誰かがストロボを焚いて撮影したのだろう。演奏中にストロボを焚く奴があるか!
まあ、自動発光によって意図せずストロボが光ったに違いない。今頃、撮影者は恥をかいているだろう。
ところが、数分後に再びストロボが光った。今度は立て続けに3回も。一体、何を考えているんだ・・・。
一応、チケットには注意事項として撮影禁止と書かれてある。だが船橋市民の参加する第九コンサートであるため知り合いなどが多く訪れ、気軽に記念撮影をするのだろうか。
まあ、これで我輩も堂々と(?)撮影出来るというわけだ。

演奏が終わった直後、会場は拍手の渦に包まれた。隣の老人は大きな声で「ブラボー!」と叫んだ。我輩も、最初のうちはカメラを持つ気にならず拍手を送った。このまま拍手を続けたかったが、切りの良いところでFUJI GA645Wiを取り出し、何枚か撮影した。前に座っている男性の頭がジャマだったため、カメラを持つ手を上げてノーフレーミングで撮影した。

拍手が鳴り止み会場が明るくなると、観客は帰り支度を始めた。
我輩は老人に改めて礼を言った。
「ホントにどうもありがとうございました。良い思い出になりましたよ、ホント。」
「それは良かった。またどうぞ聴きに来て下さい。実は私の家内もコーラスに出演してまして、ほら、これが家内です。」
老人はコンサートのパンフレットの中にあるコーラスのひとりの名前を指さした。
「それはそれは・・・。」

老人の向こう隣の女性もこちらの会話に入ってきたので、恐らく老人の娘さんであろうかと思われた。
ちょうどカメラにはフィルムが1枚残っていた。我輩はストロボをポップアップして老人と隣の女性に言った。
「これも何かの縁ですから、お写真撮らせてもらってもいいですか?」
「写真ですか、ああ、いいですよ。」
老人と娘さんは照れた笑顔を見せた。
我輩は2人にカメラを向け、シャッターを切って最後の1枚を撮り終えた。コンサートホール内での初めてのストロボ撮影だった。

我輩は老人に、写真が出来たら送ることを伝え、住所のやりとりをした。
そして、互いに良い笑顔で別れた。
会場の外に出ると、爽やかな夕焼けが雲を染めていた・・・。


船橋/船橋市民文化ホール自由席(2004.01.25)



感動を分け合った船橋のT家族(ちなみに、向こうにはファインピクスを持った手が見える)


●2004.02.23追記

昨日(2004.02.22)の昼、両国国技館へ「5000人の第九コンサート」を聴きに行った。
出掛けるついでにデジタルカメラ2台、35mmカメラ1台、中判カメラを1台持って行き、日本庭園で撮影をした。
その後、国技館前を通ったのだが、まだコンサートまで1時間もあるというのに、既に長蛇の列が出来ていた。何事かと思っていると、ハンドスピーカーで「手荷物検査を実施しております」と整理員が叫んでいた。
「カメラの持ち込みを検査するのか?」
見ると、警備員の姿も多く見られた。我輩は仕事柄省庁へ出向くのだが、その度に身分証提示や手荷物検査をされる。ふと自分のカバンを見た。そこにはカメラが4台。いくら何でも通過出来まい。
仕方無く、駅のロッカーへ荷物を入れ、国技館へ入った。写真は諦めよう。

コンサートはすぐには始まらなかった。司会進行役の女性の話や、第九コンサートの主催者の話、そして墨田区市長、北の湖理事長その他来賓の話があった。
また、このコンサートには天皇の弟も出席しているとのことで、司会者がそのことを言うと拍手が上がった。
そしてやっと第一部のバイオリンとピアノの演奏が行われた。会場全体のライトが消え、中央のステージのみが照らされる。不思議なことに、ライトが消えると大きな空間の広がりを感じた。
第一部の演奏が終わると20分間の休憩となった。

トイレに行った後再び席に着いた。良く見れば、観客席の前半分がコーラスの人間だった。"5000人"とは、聴衆の数ではなくコーラスの人数だったのか。これは驚いた。観客と同じ人数であるから、観客・コーラス・観客・コーラス・・・と交互に配置することも出来そうに思う。
そしていよいよ、第九が始まった。
しかし、ストロボの光が様々な場所から発光するのが見える。驚いたことに、コーラスのエリアからも幾つもの発光が確認出来た。司会によると、コーラスは小学生から90歳台の老人まで色々といるらしいので、記念撮影する者もいるのだろう。なにせ、5000人。行儀の悪い者くらい居てもおかしくない。
我輩の後ろにも、デジタルカメラのシャッター音(サンプリング録音されたわざとらしいシャッター音)が何度もうるさい。背後からの発光は眩しくないがやはり気が散る。
恐らく、コーラスの人間の数だけ友人知人が観客として来ているのであろうから、記念写真は当たり前の光景なのだろう。一人一人はストロボ1発でも、全体として見ればストロボ連発である。演奏が盛り上がる部分では、まさに記者会見の場のようにビカビカ光る。
我輩の席の前は通路だったが、そこに1人の男が席を離れて一眼レフカメラを持ってウロチョロして写真を撮っていた。まるで運動会でも撮っているようだな。
我輩もカメラを持って会場に入れば良かった。
それにしても、会場内での注意は「ストロボを使っての撮影はご遠慮下さい」だったが、ストロボを使わない撮影ならば良いのか・・・?

さてクライマックスのコーラスが始まる直前、5000人が一斉に立ち上がり、ライトがパッと当てられると、まさに壮観な画だった。鳥肌が立った。
そして会場全体に合唱が鳴り響いた。右左のステレオ感も素晴らしい。パートによって配置を考えてあるようだ。通常ならばコーラスの居る場所は中心にかたまっているため配置を考えてもステレオ感は無いが、5000人もいると視野一杯に広がっているためステレオ感は大きい。

演奏が終わると、墨田区の各小学校の生徒による花束贈呈が行われ、そして滝廉太郎作曲の「花(春のうららの隅田川〜)」を会場全体で合唱して終わった。管弦楽で聴く「花」は初めてだったが素晴らしい。

来年は2月27日開催とのこと。
次回もここに来ることにする。ここは気兼ね無く撮影出来る。写真撮影の場としては最強。



●2005.01.14追記

今年ももうすぐ両国国技館「5000人の第九コンサート」の日がやってくる。
チケットを購入しようとしたが、もうかなり売れてしまっている様子。とりあえず空いている席のチケットを入手した。

さて、去年のコンサートでは、滝廉太郎作曲の「花」を全員で合唱したのだが、我輩は歌詞をあまり知らなかったため、一番以外は歌えなかった。そのため、今年は歌詞を印刷して用意している。毎年この歌を合唱しているのかは不明だが、隅田川第九を歌う会が参加しているのであるから、まあ今年もやるだろう。

そう言えば、去年のコンサートの時、我輩の隣の席に座っていたオバさんは、「花」を歌う前に仰々しく姿勢を正し、ちょっと胸元を押さえたかと思ったら、ビブラートを効かせて歌った。我輩は普通に歌った。
一番が終わり、二番が始まると、そのオバさんはちょっと動揺したような素振りを見せ、最初はちょっとがんばって歌っていたのだが、すぐに鼻歌に切り替えてしまった。一番を歌うときと比べてかなり音量が下がっていたのが笑えた。


●2006.12.26追記

今シーズンは特に心の余裕が無かったため、ふと気付くと第九の季節直前だった。慌ててインターネットで調べたが、12月22日(金)サントリーホールの前2列目左側の席しか取れなかった。一方、両国国技館「5000人の第九コンサート」のほうは完売であった。
サントリーホールのほうは、実際に座ってみるとすぐ目の前にヴィオラ部隊を見上げた。そのため、相対的にヴァイオリンの音が小さく聞こえたが、目立たないヴィオラ演奏の様子が間近に見ることが出来たのは良かった。また、弦をはじく演奏(ピッツィカートと呼ばれる)がヴァイオリンからヴィオラに立体的に移り変わる様子が印象的だった。
ちなみに、隣席にいたおばあちゃんが話好きで、休憩中などに延々と話し掛けてきて困った。