2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[456] 2003年12月13日(土)
「中判フィルムスキャナ(霊感と汗)」

新型の中判用フィルムスキャナを導入したことについて、前回の雑文にて書いた。
そして、次のように結んだ。
「ピントさえ合えば素晴らしい大きさの画像を得ることが出来る。」

そう、ピントさえ合えば、その画像は素晴らしい。だが、フィルムの片浮きによってどうしても部分的にピントが合わない。
それは、両サイドでしかフィルムをホールドしないブローニー用フィルムホルダーが原因である。
フィルムのカーリングが強い時には装着すら出来ず、装着出来たとしても中央部が浮く。それはストリップ状のフィルムでも、1コマごとのフィルムでも事情は変わらない。

そこで我輩は、66判の正方形フィルムの場合には縦横を変えてセットしてみた。すると場合によってはフィルムの歪みが上手く打ち消された。しかしいつもその手が使えるとは限らない。いや、その手が使えないフィルムのほうが圧倒的。
しかも、ホルダーの固定方法の関係上、何度も装着を繰り返すとフィルムに擦りキズが付く。


ブローニー用フィルムホルダー

フィルムホルダーを手に取り、どのようにセットすれば歪みが消えるのかを何時間も考えた。しかし、どうやっても答が見付からない。
「くそ、マウントされたフィルムなら四方から固定してある分、平面性は良いのだが・・・、このスキャナはマウントされたブローニーフィルムが読めんのだ・・・。」

我輩は試しに、マウントされたフィルムをフィルムホルダーの上面にセロハンテープで貼り付けてスキャナにセットしようとした。しかし途中でひっかかってしまった。ならばとホルダーの下面に付けてみると何とかセットされスキャンしてくれた。だがピントが全く合っていない。フィルム面の位置がオートフォーカスの範囲を完全に超えているらしい。

ホルダーの枠を広げればマウントされたフィルムがセット出来るかも知れないかと思ったが、そのホルダーは金属製で思い通りの加工は不可能に近い。

ところで、35mmフィルムにはストリップ状のものとマウント状のものが両方セット出来るように2種類のホルダーが用意されている。特にマウント用は、簡単にハメ込めるようになっており、しかも4枚同時にセット出来る。
「中判フィルム対応のスキャナであるのに、なぜ中判フィルム用ホルダーが貧弱なんだ?」

我輩は歯痒く思いながらもその35mmフィルム用ホルダーを手に取って色々と眺めた。なぜかそのホルダーだけはプラスチック製であった。
「何とかこれをブローニーフィルム用に改造出来んのか・・・?」
その時、我輩はピンときた。

もし凡人であれば、このような心の迷いがあってもすぐに諦めてしまうに違いない。しかし、ここで諦めないのが我輩の天才たる所以。
エジソンも言うように、「天才とは、1パーセントの霊感と99パーセントの汗である(Genius is 1 percent inspiration and 99 percent perspiration)」。我輩は、「改造出来る」という僅かな霊感(根拠の無い直感的判断)により、フィルムホルダーの改造に着手した。

(1)
ハンダコテを使い、まずブローニー判の大きさの枠を大ざっぱに切り取った。そしてヤスリがけを行い、微調整をした。
この状態で、ブローニーサイズのマウントがスッポリとハマるようになったが、固定されていないためホルダーからすぐに抜け落ちる。

(2)
次に、マウント押さえをハンダコテで溶接した。また、裏側へ抜け落ちぬようにプラスチック片を2つ溶接した。
この時点で、フィルムセットは完璧な状態となった。

(3)
フィルムホルダー種別認識用ノッチコードを設置した。ここを改造せねば、せっかくブローニー判のフィルムを装填しても35mm判のエリアしか認識してくれない。


改造したフィルムホルダー

改造に要した時間はおよそ1時間。
実際に使ってみると、ピントの問題はほぼ解決した。
さすがに、マウントの状態でフィルムが歪んでいるものでは部分的なピントの甘さが認められるものの、それでも今までのホルダーに比べれば全く別物と言える。少なくとも3000x3000ドット程度に縮小すると判らなくなる程度。
しかも、フィルムのセットが迅速に行え、以前のPolascan45の時よりも早い。ワンタッチで手軽。

これも全て、我輩の1パーセントの霊感と、そして99パーセントの汗によるものと言えよう。