最近、昔のカメラについての雑誌やムックが多く出版されている。
我輩はNikon F2やF3、そしてPENTAX LX、OLYMPUS OMシリーズなどが取り上げられていれば即購入していたものである。
だがここ最近は、あまりにマンネリ化が激しい。
店頭で「新刊本が出たか」と思って手に取るのだが、中身をパラパラと見てすぐに戻す。もう、ほとんどが既知の内容。帰ってゆっくり読もうという気も起こらぬ。ともすれば、以前買った本かどうか分からなくなることもある。
いくら中古カメラが流行っているからと言って、同じようなライターが同じカメラをネタにして書いていれば、似たり寄ったりの本になるのは当然。古いカメラは、種類が増えることが無い。リソースは有限である。
そもそも、昔のカメラの情報を得るのに、新しく出版される本が参考になるのだろうか?
我輩は、その点を疑問に思う。
新しい本の記事を書く者は、現代の感覚で記事を書く。新しいカメラを知っており、それを基準にして昔のカメラを上から眺める。そして、記事を読んだ我々に無意識の影響を及ぼす。
それはつまり、「昔のカメラはマニアックだ」という偏った意識。
しかし、我輩は新しい本に見切りをつけて古い本を探している。
その中でも、昔の写真解説本などは、マニュアルカメラを実用機として紹介しているのが面白い。最新高級システムカメラとして、Nikon F2が紹介されていると、本当にその時代の人間になったような感覚でNikon F2を見ている自分に気が付く。
「ああ、Nikon最新のF2、使ってみたい。」
新しい本には、そんなことを思わせる記事など無い。ライターは皆、昔のカメラを最新カメラとしては見ていない。所詮はミーハーな連中ばかり。
最近、我輩はネットオークションで昔の「写真工業」をまとめて数十冊落札した。
その時代の最先端カメラを紹介しているという意味では、非常に意味のある内容である。未来人から見たカメラ(参考:
雑文「未来人としての視点」)という面白さもあるが、それよりも、触ったことのない昔のカメラの第一印象を決める意味では大きな意味を持つ。
それでも敢えて今の時代の本を買おうとするならば、最新カメラについての本を買うのが良い。ネタも新しく、変にこねくり回して書いていない分、時代を経ても普遍性を失わない。そしてそれが、いつか昔の本の一員となってくれる。
昔を懐かしむ内容の本を読んで懐かしく思えたのは最初のうちだけ。回転寿司の如く古いネタを回しっぱなしにしていれば飽きてくる。
これからは、新鮮なネタを探すために昔の本に焦点を絞って探すことにする。