2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[400] 2003年02月12日(水)
「ネオパン-Fが嫌いな理由」

我輩は、モノクロフィルム「FUJI ネオパン-F」があまり好きではない。その理由をここで白状する。

中学生の頃、金が無いのでモノクロフィルムをよく使った。
今であればカラーのほうが0円プリントなどを利用して安く済ませられるが(クオリティは望めないが)、当時はモノクロのほうがDPEも安かった。

当時はコンビニエンス・ストアなど無く、町に1軒あった写真館だけがフィルムを購入出来る唯一の店だった。
そこは夫婦が経営する小さな写真館で、置いてあるフィルムの種類も少なく、フジのASA100(今で言うISO100)のカラーとモノクロだけだった。
今考えると、町の小・中・高校の体育祭写真や修学旅行の写真、生徒の証明写真などが主な収入源と思われる。フィルムなどあまり売る気も無かったろう。

それでも我輩は、「白黒のフィルム下さい。」と言って「FUJI ネオパン-SS」を買っていた。他のフィルムは知らなかったのだから、それが我輩にとっての唯一のモノクロフィルムだった。

最初の頃は写真館に現像と焼付けをしてもらっていた。
だが、いくらモノクロが安いとは言うものの、それは「カラーよりも安い」ということでしかない。やはり金はかかる。

当時、我輩は中学で科学部に所属しており、我輩の他に部長のオカチン、クラッシャー・ジョウ、そして強がり者Kがいた。
科学部では天体観測などをやったりしたが、そこから写真へ関心が移り、いつしか部内では写真活動が主になってしまった。

ジョウは昔からカメラを持っており、PENTAXのカメラを振り回していたが、不思議とヤツの撮った写真を見たことが無い。

強がり者Kは、ヤシカのレンズシャッター機を使っていたが、「いつかMAMIYA ZE-Xを買うてやる!」と宣言したものの、なぜか「Canon A-1」とタムロンの望遠ズームを購入していた。ヤツはいつもタムロンのアダプトールに翻弄され、「レンズがハマらん!」「レンズが取れん!」などといつも騒いでいた。そのためかどうか、コイツの撮った写真も見たことが無い。

我輩は「Canon AE-1」を使っていたが、それをオカチンに買い取らせ、その金と貯金を合計して「Canon AE-1P」を購入した。
AE-1Pの購入には、オカチンと共に自転車で隣町の行橋まで出掛けて行き、10店舗くらい回ってそれぞれの店長と掛け合った。その中で一番安い、京都高校前のそごうに入っていた高千穂カメラで購入することにしたのだ。

ジョウと強がり者Kは別として、我輩とオカチンは写真活動に必要な費用捻出に苦しんでいた。そこで、何とか理科準備室にある写真現像用暗室を活用出来ないかと考えた。そこには古い引伸し機もあった。

2人で金を出し合い、学校帰りに写真館に寄って現像液とモノクロ印画紙を注文した。ネガの現像は方法が分からなかったので、それは店に頼むことにした。
引伸し機の錆を落とし、現像液と印画紙を手に入れ、何とか焼き付け作業を行った。
初めて自分で焼いた写真に、オカチンと我輩は感動した。

ある日、我輩はいつものように写真館に寄った。
戸を開け、「すいませーん」と言うと、「はいはい」とオバちゃんが出てきた。いつもならオイちゃんがいるのだが、その日は撮影にでも出掛けているのだろうか。
我輩はいつものように「白黒フィルム下さい」と言った。するとオバちゃんは「安いのがあるよ」と言った。
我輩は安いという言葉に反応してしまった。 オバちゃんは、ショーケースから2つの小さな缶を取り出してカウンターに置いた。

確かこんな形だった。

缶は中央部が黒いビニールテープで封がされており、中身は確認出来なかったが、オバちゃんが言うには普通とはちょっと違う白黒フィルムだということだった。
"ちょっと違う"という意味が分からなかったが、オバちゃんもそれ以上のことは知らない様子だったので、我輩はその"ちょっと違う"フィルムを使ってみることにした。
写ればそれで良い、安ければそれで良い。

家に帰って缶を開けてみると、いつものネオパン-SSよりも薄い緑で印刷されたパトローネが出てきた。確かに、雰囲気がちょっと違う。
とりあえず、どう違うのかを見るために撮影した。とにかく普通に撮った。
だが、現像が上がってみると、どれもこれも濃度が薄かった。
「やられたー、緑色が薄いのは、ネガが薄いっちゅうことやったんかー!」
残されたもう一つの缶を開け、改めて見てみると、パトローネには「ネオパン-F」の文字が・・・。

今考えると、単にネオパン-FのASA32という低感度が露光不足であったのであるが、当時の我輩にはそのフィルムがインチキなフィルムであるかのような印象を受けた。
せっかく安く手に入れたフィルムだったが、これではどうしようもない。残りの1本は、使った記憶が無い。今も実家の倉庫のどこかに眠っているだろうか。

我輩にとって「ネオパン-F」は、今でもインチキフィルムという印象が強い。そして同時に、あのオバちゃんもインチキ臭い存在となってしまった。

長々と書いたが、これが、ネオパン-Fが嫌いな理由である。