2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
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10.アンケート
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カメラ雑文

[382] 2002年11月10日(日)
「里帰り」

対角線魚眼レンズ「zodiak 30mm F3.5」を入手した後、ゆっくりとカメラボディの問題を考えようと思ったが、結局のところ、考える余地はあまり無い。どれを選んでも似たり寄ったり。
ただ、インターネット上の情報から考えると、「Kiev 6C」が他より幾分マシだと感じた。使い方さえ間違わなければ、不具合の発生は最小限に抑えられる(ような気がする)。

それにしても、いざ「Kiev 6C」を探そうとするとなかなか見付からない。
「Kiev 60」のほうは現在でも生産中のカメラのようで、オンラインショップやオークションでは頻繁に見掛けるのだが、旧型「Kiev 6C」は過去のカメラであるためか、なかなか出会うことが無いのである。
普通ならば改良型のカメラのほうが良さそうに思えるが、実は旧型のほうが丁寧に造られているらしい。

仕方無いので、予約受付中となっていたロシアカメラ取扱店「King-2」のほうで「Kiev 6C」を予約した。恐らくここは、一定数の予約を取ってロシアに買い付けに行くのであろう。
個人サイトの情報を見ると、予約して入手するまで2ヶ月かかったという。まあ、ちゃんとしたモノが届くならば、それくらいは待つことにしよう。

そうは言っても、現時点で予約後2週間経った。カメラボディの無い状態では色々と不安になる。果たして満足に写真が撮れるのだろうか?
そもそも、ゼンザブロニカの魚眼レンズさえあれば、そんな心配事をしなくても済んだのだ。

「コーワ6」の全周魚眼レンズのように、はるか数十年前に生産終了したものならいざ知らず、「ゼンザブロニカPS 35mm F3.5 フィッシュアイ」は、ほんの数ヶ月前には販売されていた現役であった。
しかも、店頭で手に取るカタログやタムロン/ブロニカのサイトには、このレンズがいまだに現行品として掲載されており、本当に生産終了の直後であると感じさせる。ほんの少し早ければ、普通に手に入れることが出来たはずなのだ。それがまた、後悔の念を増幅させている。
「まだどこかに残っているのではないか・・・?」我輩はふと、そう思った。以前、雑文092「逃げ遅れたレンズ」で書いた時のように、まだどこかに逃げ遅れたものが日本のどこかにあるかも知れない。

ところが、いくら探しても手掛かりとなる情報はインターネットからは出て来ない。比較的ニーズの多いセミ判(645)のゼンザブロニカETR-Si用フィッシュアイレンズならば、在庫を持っている店はいくつか見付かった。確かにETR-Si用フィッシュアイは現行品であるから在庫があるのは当たり前かも知れない。しかし、それならば我輩の探しているゼンザブロニカSQ-Ai用フィッシュアイも、生産中止と同時に物が消えることは無かろう。生産中止と言えども、店頭在庫さえあればそれが捌けるまで販売されているはず。

恐らく、セミ判に比べてマイナーな存在の66判であるから、そのフィッシュアイレンズなど購入する者は滅多におらず、事実上の受注生産とされていたのだろう。そうであれば、生産終了後直ちに販売不能となったことの説明となり、またそのことは全国の販売店には在庫が無いという根拠にもなる。

実は、カメラのキタムラでオンライン注文をして在庫無しと言われた後、ヨドバシカメラ経由でブロニカに問い合わせをし、メーカーにも在庫が全く無いという確認までした。ここまでやってダメならば、もう本当に手に入らないと悟った。
いくら金を積もうがダダをコネようが、存在しないものは存在しない。

それでも諦めの悪い我輩は、時々インターネットの検索エンジンで、微妙に検索キーを変えながら手掛かりになりそうな情報を探した。しかし検索でヒットするのは、何度やってもブロニカ・タムロンのサイトや外国のカメラショップのページだった。日本に無くとも外国には在庫があるらしい。
「クソ、日本メーカーの製品だというのに、なぜ日本国内では手に入らず外国では手に入るんだ!?」
やり場の無い怒りと虚しさ。
またいつものパターンではあるが、我輩は力が抜けて前のめりにバッタリと倒れ込んだ。
うつろな目で見える映像が、円形に歪んで見えるようだった。

外国のショップで買い物をするには、我輩にとって色々と障害がある。
何より言葉の問題が大きい。英語を訳すことは出来ても、英語を作文することが出来ない。仮に、大体の意味が相手に伝わったとしても、微妙な言い回しで思わぬ行き違いが起こり、それが元でトラブルとなることは十分予想される。海を隔てた外国とのトラブルは非常に面倒だ。
他にも、支払いはどのようにすれば最も良いのか、また、税関でどのような対応があるのかなど知らないことが多い。あるいは、我輩の思い付かないようなことで気を付けねばならないことがあるかも知れぬ。その時になって不都合が発覚し、そしてその対応を求められても、対応出来る内容ならば良いのだが・・・。

まあ、これらの心配事は、一度経験してしまえば何とも無いようなことかも知れない。ただ、無知というのは、人を大胆にさせる一方で人を臆病にもする。
少なくとも我輩は、トラブル無しで外国のオンラインショップを利用する自信が全く無い。

そういうこともあり、しばらくは日本国内に絞って相変わらず検索生活を送っていた。 「ゼンザブロニカ」ではなく「ゼンザノン」と入力してみたり、「PS35mm」ではなく「PS35ミリ」と入れてみたり。
あまり検索キーを簡潔にすると、関係の無い情報まで引っかかってしまい情報の取捨選択が大変。かといってあまりに検索キーを特定し過ぎると、ほとんどヒットせず情報が得られない。
やはり、国内では無理か。そもそも、国内でこのレンズを所有している者などおるのか!?

我輩は次第に外国のショップで購入することを模索し始めた。
今はインターネット上で様々な情報が得られる時代である。もしかしたら、外国のオンラインショップで買い物をした者の体験談などがあるかも知れない。適当にあれこれ検索キーを入れて探してみた。
するとその中に、「New York Best Life.com」という輸入代行業者が浮かび上がった。

メニューの中に「輸入代行見積もりフォーム」というものがあり、買い物をしたいショップの該当ページURLを送信フォームにペーストして送れば良いらしい。
見積もりならば、とりあえずの手掛かりにはなろう。我輩としては、とにかく相談相手が欲しかった。

さて、肝心のショップはどれを選ぼうか。
改めて検索すると、いくつのショップが出てきた。

こうして見ると、価格差がかなり大きい。中古でも新品価格に匹敵しているのというのもスゴイ。値段を知らぬショップか、またはナメた商売をしているのか。
そうなると中古を選ぶ理由は無く、新品で買えるショップを選ぶことにする。その中で、$3,049.69の値を付けている「AAA camera」は除外し、それ以外のショップから選ぼう。

単純に最も安いのは$1,488.62という値段の「warnersimaging」であるが、輸入代行業者がニューヨーク所在であるから、ここは無難に、ニューヨークのショップ「B&H」に決めた。
我輩は早速、代行業社の見積もりフォームに必要事項を記入し、送信ボタンを押した。さて、どうなることやら。

その夜、見積もりがメール送信されてきた。恐らくこの時間は、ニューヨークでの昼間に相当するのだろう。
肝心の見積もり金額は、手数料込みで$2,097.84だった。まあ、そんなとこだろう。いずれにしても、我輩は今金が無い。家計から借金せねば購入することは不可能である。どうせ借りる金なら、買える買えないというボーダーはあまり気にすることもない。必要になった金額を借りれば良い。
日本国内ではもはや手に入らぬこの貴重なレンズ、もし手に入るならば、それだけで儲けモノ。逆に、何らかの理由で結果的に入手が不可能であったとしても、「借金せずに済んだ」と自分を励ますことも出来る。

支払いはクレジットカードを使うことになる。詳しくは知らないが、カード経由ならば「円」と「ドル」のやりとりは簡単にいくのだろう。
まあ、面倒なことは業者任せ。

数日後、業者から「指定された品物の買い付けが出来た」との連絡があった。きわどいことに、買い付けたモノが最後の在庫だったらしい。確認のためにB&Hの該当ページを見ると、なるほど、表示が在庫切れとなっている。

その後、品物は日本へ向けて発送され、我輩は事前に知らされた伝票番号によってインターネット上で荷物を追跡することになった。
まず、現地郵便局で10月29日16:10に発送されたことが判った。
そして、10月29日19:16にはJFK空港から日本へ向けて飛び立ったということも判った。
更に、11月2日21:40には国内局に届けられ、日曜祭日と続いた11月3〜4日を飛ばし、11月5日16:51には税関に入ったと画面に表示された。
ところがしばらく待っても、税関に入ったまま出てこない。
代行業社の担当者はその様子を見て心配したのか、「日曜祭日が続いたので、順番待ちかも知れません」と言ってくれた。しかし6日の夕方、税関からハガキが届き、商品の価格が分からないので提示するよう指示された。関税を算出するために必要らしい。面倒だな、代行業社は価格が分かるようにして梱包しなかったのか?
理由はともかく、急いでハガキに価格を記入しポストに投函した。

それからしばらく経った11月8日19:20、やっと荷物が浦和の配達局へと発送されたという表示に切り替わった。このぶんでは9日に届くのではないかと期待した。
代行業社からのメールも、安心したというような雰囲気を文面から感じた。

次の日の11月9日午前中、我輩が遅くまで寝ていると玄関のチャイムが鳴った。
「レンズか!?」
我輩は飛び起き、玄関の戸を開けた。やはり、例のレンズだった。まるでクリスマスプレゼントをもらった子供のような気持ちだった。
我輩は関税6,400円を支払い、荷物を受け取った。
玄関の戸を閉めるとすぐ、乱暴に梱包を解き、レンズを確認した。
「ああ、確かにこのレンズだ。素晴らしい。しかし本当に手に入るとはな。」
我輩は感無量だった。

Fisheye ZENZANON PS35mm F3.5
 
PS40mm F4.0(左)とPS35mm F3.5(右)の比較

そんな我輩とは対照的にヘナチョコ妻は、我輩が散らかした梱包材を何とかしてくれと文句を言った。「男のロマンを理解せぬとは許せん!」とは思ったが、金を借りた弱みもあり、素直に梱包材の片付けを始めた。箱も潰し、まとめてゴミの日に出す。

その時、箱の底にある一つの封筒が目に付いた。
中を見ると、商品価格の記述だった。これは、税関に提示するための資料である。これが箱の底にあったため、係員に気付かれなかったのだと想像した。しかしなぜ底に?
答えは全く単純。
税関では、表に貼り付けられた宛名伝票を避けるため、箱を裏返しにして開封したのである。その証拠に、税関の封印テープが底に貼られていた。
「内箱を外箱から完全に出さなかったな。」
つまらないことで4日ほど浪費してしまったが、まあ、無事に届いたので良しとする。

モノクロは自家現像可能であるため、今回のテスト撮影に使った。

考えてみれば、このレンズは元々日本製。それが再び日本に帰ってくるとは。
これはまさしく「里帰り」という感じか。

それにしても、ここまでの道のりは長かった。
これでやっと、ゼンザブロニカSQ-Aiのレンズシステムが完成した。もはや35mmカメラと同じ条件で機材を選ぶことが出来る。
嬉しいことに、代行業社の担当者もまた、同じように喜んでくれた。また何かあれば、再びこの業者を使わせてもらうことにしよう。
・・・もちろん、借金返済後にな。

●PS35mm F3.5●PS40mm F4.0●PS65mm F4.0●PS110mm F4.0●PS180mm F4.5●S250mm F5.6