2000/04/05
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カメラ雑文

[335] 2002年02月23日(土)
「開放F値優先AE」

優先方式のAEには、「絞り優先AE」と「シャッタースピード優先AE」がある。
「絞り優先AE」とは、撮影者が絞り値を一意に決定すると、それに応じたシャッタースピードが自動的に設定されるというものである。言うなれば半自動とも言うべきもの。
「シャッタースピード優先AE」とは、撮影者がシャッタースピードを一意に決定すると、それに応じた絞り値が自動的に設定されるというものである。これも半自動と言えよう。

我輩が最初に手に入れた一眼レフカメラはキヤノンAE-1であったが、これは「シャッタースピード優先AE」を搭載している。
当時は野鳥などを望遠レンズで狙ったりすることが多く、なるべく速いシャッタースピードを選択して撮影しなければブレてしまう。そんな時、このカメラにも「絞り優先AE」が搭載されていたら便利なのになあと思った。それは何故か?

カメラ関連の書籍を読むと、「シャッタースピード優先AE」はスポーツに最適であると記述されている。スピード感を表現したり速い動きを止めたりするには、撮影者がシャッタースピードを決定する必要があるからだ。だが、実際の撮影ではなかなか都合良く行かないことが多い。

スポーツの撮影ならば望遠レンズが主である。もちろん標準レンズや広角レンズも使う場面はあろうが、被写体から距離がある撮影が多く、望遠レンズで引き寄せることは必然となる。
しかしレンズの開放F値は、望遠になればなるほど暗くなる。リーズナブルな価格帯のレンズで言うならば、以下のように長焦点になるにつれて開放F値は大きく(暗く)なってゆく。

焦点距離 開放F値
50mm
F1.4
85mm
F1.8
100mm
F2
135mm
F2.8
200mm
F4
300mm
F5.6
400mm
F5.6
500mm
F8

金持ちならば、この表から外れた明るいレンズを使うかも知れない。レンズの明るさに余裕があれば、好きなシャッタースピードを設定しても受け入れられよう。
だが一般的な貧乏人ならば、おおよそこの表と同じラインに沿ったレンズを使うことになる。暗い望遠レンズならばシャッタースピードも遅くなりがちで、ただでさえ望遠レンズは像面倍率が高いのであるからブレ易くなる。

いくらシャッタースピード優先AEだろうと、レンズの開放F値の限界を越えたシャッタースピードを設定すれば適正露出は得られぬ。まあ一部のカメラには、安全設計として「その撮影条件にて設定可能な範囲のシャッタースピードしか選べない」というものもあるが、大部分のAEカメラは、露出調整能力を越えないようにと撮影者が考えながらシャッタースピードを設定しなければならない。出来るだけ速いシャッタースピードを使うのであるから、露出計を見ながらその場その場の最適なシャッタースピードを選ぶことになろう。これでは、せっかくのAEのメリットが貧乏人には享受出来ない。

もちろん、高感度フィルムを使えば解決する話かも知れぬ。しかしそのために粒子が粗れるのを好まぬ者もいよう。スポーツ写真ならば、描写よりもシャッターチャンスであると解っていようとも、普段から微粒子フィルムを使っているような者ならば、受け入れるにも時間が掛かろう。

そんな時、もしも絞り優先AEがあったならば、開放絞りにセットしておくだけで、その場の条件に於いて最速のシャッタースピードが自動的に設定される。仮に、それ以上の速いシャッタースピードが希望だとしても、適正露出が得られないのならば意味が無いのであるから、ここはAEらしくカメラにお任せするというのがスッキリした使い方だと思う。

カメラ任せによって闇雲に速いシャッタースピードになっても困るが、貧乏人の使う暗い望遠レンズならば、手ブレに困ることはあっても速すぎるシャッタースピードに困るなどということは無かろう。この使い方は、言うなれば「開放F値優先AE」。
貧乏人向けのAE、ここに在り。