2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
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5.カメラ雑文
6.写真置き場
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カメラ雑文

[319] 2001年11月14日(水)
「他力本願なテスト撮影(35R)」

最近、土日は仕事の疲れもあって寝てばかりいる。そのため、先日購入した「RICOH 35R」のテスト撮影をなかなか行うことが出来なかった。一応、リバーサルフィルム(感度100)は装填してはいたものの、撮影枚数はゼロのまま。
営業業務であっても、こういう時に限って外出が少ない。

ある日、この「RICOH 35R」をカバンに入れて出社、そして机に溜まった伝票処理を続けていた。やはり、外出しての撮影は出来そうもない。
ところがその日、先輩社員が「東京モーターショーへ行く」と用意を始めた(業務上必要な見学であった)。そこで我輩はとっさに「RICOH 35R」を先輩に渡し、何でも良いから写真を撮ってくるよう頼んだ。まさに、先輩が事務所を出る寸前のところであり、カメラの使い方説明も十分でなかったが、とりあえず全自動で撮れるセッティングをしてカメラを渡した。

次の日、先輩がカメラを返してくれたが、フィルムカウンターは25を指していた。かなり撮った様子で楽しみではあったが、リバーサルフィルムを装填していたため恐らく半数は失敗であろうと予想した。
その日は偶然にも本社へ行く用事があり、そのついでにヨドバシカメラに現像を出すことにした。とは言っても、まだフィルムは残っているのであるから、それを利用して露出補正の操作性とその結果を見ようと上野の駅前を撮影。

「RICOH 35R」は国内向けとは違い、AEB撮影が出来ないが、露出補正機能を使うことによって手動段階露出が可能であろうと考えていた。実際の撮影では、露出補正のボタンとシャッターボタンを交互に押すことで、ファインダーから目を離すこと無く「+1」,「0」,「-1」の撮影が迅速に行えることを確かめた。


さて現像結果だが、リバーサルのスリーブを広げて一覧すると、意外や意外、露出を外しているものは2〜3カットくらいしか無かった。他のカットは理想的な露出具合である。
見たところ、ストロボが発光したと思えるカットはあまり無い。このカメラは1/4秒までスローシャッターが利くため、距離のある被写体にはストロボが発光しにくいのかも知れぬ。感度100のフィルムでは厳しい条件であるが、露出具合はなかなか良いと言える。とは言っても、屋外の逆光・半逆光などの条件で撮影すれば、また違った結果となるだろうが。

※全てノートリミング

この掲載画像は、フィルムスキャナで取り込んだ後、原版と見比べながら、なるべく忠実な濃度になるように調整したものである。暗い部分がツブれるのは仕方無いものの、全体的な雰囲気は原版に近い。

小さな掲載画像からは判らないだろうが、画像はそこそこにシャープ。高価なレンズの写りと並べられると違いが分かるのかも知れないが、単独の写真を見る限り、十分に満足と言える。仮に「一眼レフで撮った」などと言われても、我輩レベルでは見分けがつかない。これならば、当初考えていた「中級デジタルカメラの代替」という目的以上の用途にも耐えよう。

しかしそれにしても、ストロボが発光しなかったとするならば、絞りは開放であろう。それでも周辺部はにじみもせず流れもせず、期待した以上の描写を持つ。何より、スローシャッターでもブラさず写真を撮った先輩の腕には感服した。あるいはブレにくいカメラの形状が貢献したのか。

ただし、全てのカットに於いて、画面の上部の枠(つまりカメラ側では下部)がケバ立っているのが判明した。一眼レフで言うところのミラーボックスに相当する部分を見ると、内面反射防止用として貼られた人工植毛のシールがあり、それが僅かに光路をジャマする位置にあるようだ。
まあ、リバーサルフィルムをコマごとに切り離してマウントしてしまえば完全に隠れてしまう部分であるため、実質的な不都合は無い。これによって内面反射が抑えられるのであれば良しと考える。

ところで、このカメラはAFであるのだが、どうもそんな感じがしない。
店頭で他のコンパクトカメラを操作してみると、シャッターボタンを押してもすぐにはシャッターは切れず、AF動作でレンズが「ウィイン」と駆動する間がある。サーボモータを使っているのだろう。
しかし、この「RICOH 35R」はシャッターボタンを押すとすぐさまシャッターが切れる。レンズの駆動も感じない。果たしてこれでAFが利いているのだろうか。まさか、AFというのはウソっぱちで、広角レンズであることをいいことに、本当はパンフォーカスで誤魔化しているのではないのか。

だがその疑念は、次の写真を見れば払拭される。中心のコンパニオンにピントが合い、背景が少しボケているのが判る。一応、真面目にピント合わせしている様子。
恐らく、バネ駆動でレンズを動かし、係止爪で適当な位置で止める方式なのだろう。昔ながらの安っぽいAFだが、すぐにシャッターが切れる心地良さは格別。30mmの広角レンズにはこの程度のAFで十分と思う。
この例では近付いて撮ったように見えるかも知れないが、単にトリミングしたものだ。もっとコンパニオンに近寄れば、背景のボケも大きかったことだろうが、モーターショーという状況を考えると、いかに営業のプロたる先輩であっても、人垣を割って近付くことなど出来るものではない。


掲載サイズが小さいので、ボケ具合が判るようにトリミング拡大してある。


さて、ついでに上野で撮影した手動段階露出のものも見てみた。
とりあえずは、段階露出の効果が現れている。1段単位なので、その違いは分かり易い。
逆光気味のシーンでは、補正0のものはアンダーになっていた。そういうことは通常ならば予測可能であるから、段階露出などで無駄に浪費せず、素直に露出補正を利かした1枚だけに済ませたいと考えてしまう。

だが、レンズ横の小さな窓から覗いている、たった1個のCdS素子が何とも頼りない。多分割測光素子を「昆虫の複眼」と例えるならば、このCdS素子はさしずめ「クモ類の単眼」とでも言うか。フィルターの枠の影に入ると露出が変わるのではないかと心配になる。
さらには取扱説明書にも、「リバーサルフィルムの厳密な撮影には適していません」などということを書いてあるのだから、あまり露出計は期待しないほうが良さそうに思う。そんな曖昧な露出計に補正を加えるよりも、何も考えずに段階露出で弾幕を張っておくほうが簡単でお気楽と言える。


先輩に撮らせた他力本願のテスト撮影が中心だったが、この結果を見ると、我輩の要求する範囲内では「RICOH 35R」は十分使える。これからデジタルカメラに代わり、我輩のカバンに常備されることになる。