2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[309] 2001年10月09日(火)
「オモチャ」

「ロータス」と言えば、まず思い付くのは表計算ソフト「Lotus1-2-3」か。
だが車の世界で「ロータス」と言えば、イギリスのスポーツカーのことである。中には「ロータス・エクセル」などという微妙な名前の車もあるが、やはり有名なのは、007のジェームス・ボンドが映画の中で乗り回した「ロータス・エスプリ」だと勝手に思っている。

イギリスのスパイ007であるからイギリス車に乗るのは当たり前かも知れぬが、それでもその洗練されたデザインはボンド・カーにふさわしく、外見からはミサイルなどの色々なメカニズムが搭載された車とは思わせないスマートさがあった。このエスプリのデザインはG.ジウジアーロの作であるから、それもまた納得できよう。

我輩はペーパードライバーであり、これからも車を運転する気は無いが、このエスプリはメルセデスベンツ190Eと共に我輩の好きな車であり憧れでもある。
だがこのエスプリは、スーパーカーブームの時には目立たない存在だったため、派手なランボルギーニやフェラーリの影に隠れており、ミニチュアとして発売される時には必ず「007仕様」としてしか出なかった。 やむなく我輩は、ミサイル付きのエスプリのプラモデルを組み立てたものだ・・・。

メルセデスベンツ190Eの場合、よく街中で実車を見掛けることがある。確かに一世代前の車であるから、一時期に比べて数は少なくなったが、それでも中古価格100万円前後と特別高価な車でもないので、普通にそこらへんを走っている。
その姿は、写真で見るよりもまとまったデザインをしており、金持ちの乗るようなベンツよりも上品なイメージを受ける。やはり実車と写真とでは印象が全く違う。

だが、エスプリの場合は実車を見たことが無い。プラモデルを作ったことはあったものの、それを見る視点はあくまでもオモチャを見るそれだった。塗装の汚いブザマなプラモデルをいくら見ようとも、実車のイメージは湧くものではない。

ところが最近、ホビーショップでこのエスプリのミニチュアモデルを目にした。それはプラモデルと同じくらいの大きさであり、何よりも完成品であることが魅力的だった。
モデラーならば、「自分でキットを組み立てることが一番の楽しみだ」と言うだろうが、我輩は完成品のみが目的である。子供の頃からプラモデルを作ってきたのは、それしか選択の余地が無かったからだ。
しかし、今、目の前にエスプリの完成品がある。

ショーケースの展示品には値段は書いていなかったが、隣に置いてあるフォーミュラーカーには2万4千円の値が付いている。
・・・ということは、やはりエスプリもそれくらいのなのか。財布を割ると、札が10枚広がった。全て千円札だった。今日は無理か。

だが店員に訊いてみると、意外にもエスプリは8千円だと判った。それならば我輩にも買える。2万4千円から8千円となったことによる錯覚の割安感のため、我輩は躊躇無くそのエスプリを購入した。考えてみれば、50mmf1.8が買えてしまうくらいの値段か。

帰宅して早速撮影に取りかかった。
ミニチュアであるから、手にとって眺めているだけでは、どう見てもオモチャでしかない。しかし、遠近感とアングル、そして照明を注意深くコントロールして撮影すると、オモチャが実車の貫禄を見せるようになる。

ファインダーを通して見るのは、小さくなった自分自身である。そこには、「ミニチュアを大きく見せよう」などという気持ちは無い。あくまで自分が小さくなった気分で撮影するのだ。
モデラーが「組み立てる過程が面白い」と考えるのと同じく、我輩は「ミニチュアの世界に入り込んで撮影する過程が面白い」ということか。

撮影している間、我輩の心はエスプリのシートにあった・・・。