2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
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10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[301] 2001年09月14日(金)
「複数の映像が捉えた事件」

11日夜、過ぎ去ったばかりの台風の後情報を得ようとテレビをつけると、アメリカの世界貿易センタービルに航空機が突っ込んだというニュースが目に入った。ビルがまるで煙突のように黒煙を吹いている。
その様子はまさしく進行形の映像だった。いや、現時点でも事件そのものは進行形である。死者の数も把握出来ない状況らしい。情報も錯綜しており、確実な情報が未だ少ない。
テレビには、航空機がビルに突っ込む瞬間の映像が生々しく映し出された。それはまさに映画の世界のようだ・・・。

世界貿易センタービルは2棟あるとのことで、そのうち1棟がまずやられた。その時の映像は、偶然に撮られた1本しか無いらしい。
しかし、最初のその事件が多くのテレビカメラを集めることとなり、それから約20分後に起こった2棟目のビルへの攻撃では、あらゆる角度からの映像が複数撮影された。我輩の見た限りでは4〜5本の映像があったろうか。

同一事件の映像を様々な角度から見られることはあまり無い。そもそも予測不能の事件が映像として撮られること自体が希なことであるから、今回のことは非常に珍しいと言える。

最初の映像は、双発の小型ジェット旅客機と思われる航空機が画面右側から飛来したものだった。その航空機がビルの陰に隠れたかと思うと同時に、爆炎が手前に向かってビルを貫いた。
凄まじい映像には違いないが、正直言って実感が湧かない。それはまるでミニチュアか何かのようにも感じられた。平面的なブラウン管の映像は、その航空機を現実のものとして認識させなかった。

しばらくニュースを見ていると、新たな映像が放送された。今度は航空機を左側に見る角度の映像だった。
航空機はまるで普通に着陸するかのように低い高度で飛んでいる。周りのビルをかすめ、そのまま通り過ぎるように思われた瞬間、いきなり目標のビルに突っ込んで炎を上げた。
ビルに突っ込む瞬間は鮮明に捉えられており、ビルの破壊の様子も見えた。

さらに別の映像が入ってきた。これはビルの真下から見上げるようなアングルで写された映像で、遠近法的描写により上に行くほどビルが細くなって見えている。それはつまり、ビルに突っ込む航空機の距離とその大きさを肌で感じさせることになった。

そして決定的な映像として、真正面に機体が突っ込んで行くものを見た。その映像はまさに、航空機の操縦者の視点である。操縦者が見たであろうこの世の最後の風景、それを我輩も見たような気持ちになった。

後の報道により、その航空機はハイジャックされた民間機だと知った。あらためて映像を見たが、ビルに突っ込む航空機の中に、死に行く乗客の姿を見たような気がした。

1年前のコンコルド墜落事故では、墜落した瞬間の映像は無く、炎を吹き出しながら飛ぶ様子が捉えられたのみだった。しかし、今回の事件では、まさにその瞬間の映像である。しかも同時にいくつものカメラが捉えていた。想像・創作の入り込む余地無く、その映像をただ目に焼き付けるのみ。

時間が経過するにつれ、複数撮られた映像やビルの位置関係の情報が集まっていき、事件の様子が立体的に浮かんで来た。
心の中で複数の映像が統合され、ディテールを補いながらリアルな世界の映像を目の前に見る。それはあたかも、自分自身がその現場にいて実際に目撃しているかのようだ。「これは本当に地球の裏側での出来事なのか」と何度思ったことか。

事件・事故の映像は過去にはいくつも報道されてきたが、今回の事件のようにあらゆる角度から同一事件を見るのは初めてである。恐らく他の誰もがそうだろう。
事件そのものについてのコメントはここでは差し控えるが、映像としては実に驚くべきものだった。
我輩は、この光景を一生忘れないだろう。



(2007.02.19追記)
映画「ユナイテッド93」のDVDビデオを購入し観た。
アメリカ同時多発テロでハイジャックされた4機の航空機のうち、ユナイテッド93便1機だけが目標まで届かずピッツバーグ郊外に墜落した。乗客がテロリストを阻止したのだと言われている。
この映画は、そのユナイテッド93の機内で起こったことを中心に映像化したものである。
臨場感ある衝撃と全てが終わった虚しさに、観終わった後しばらくは動けなかった。

(2007.02.22追記)
アメリカ同時多発テロについてウェブ上で色々と資料を漁っていたところ、「テロがアメリカの自作自演であり、ハイジャックされた航空機は遠隔操縦の無人であった」という話に行き当たった。
最初にこの話を見た時、バカバカしいと思ったが、我輩が何となく「このテロはちょっと変なところがあるが、まあ気のせいだろう」と漠然と思っていた疑問点について深く掘り下げており、少し気になった。