2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[283] 2001年07月21日(土)
「近視のMF測距能力」

我輩は目が良くない。

先月までは開発に携わった業務に就いていたため、長時間パソコンを注視し続けていた。そのような職業ゆえ、まばたきの回数も極端に減り、無意識のうちに3回/分くらいまでにも低下する。

太平洋戦争中、レーダー(いわゆる電探)が無かったため、索敵には目視が重要とされた。いち早く敵を察知することが、戦闘を有利にするための必須条件であった。
そのため、波浪の波飛沫の中でもまばたきせずに索敵する訓練が行われたと聞く。まばたきをすれば、せっかく認めた敵影を次の瞬間には見失うこととなるのだ。

我輩の場合、パソコン画面上を高速で移動するマウスポインタに視点を追随させるためには、やはりまばたきは禁物である。仕事の効率とまばたきの関係は密接で、忙しく意識の集中した時ほど、まばたきを忘れる。

そういうわけで我輩の視力は年々低下し、今や数メートル離れると人の顔がよく判らない。眼鏡を掛けるのは好まぬゆえ、カメラのファインダーを覗く時も裸眼である。大抵のカメラには視度補正レンズを装着しているものの、やはりファインダーのピントが見づらくなるのは避けられない。

我輩の主力カメラ「Nikon F3」はMFである。そのため、合焦操作は目視と手動による他無い。まあ手動は良いとして、目視によるピントの確認には苦労がある。しかもその苦労は、視力の悪化と共に極めて緩慢に増えていったものであるから、その苦労が意識に上るまでに時間がかかった。

その苦労を自覚した当初、我輩は視度補正によって完璧に補正することを目指した。しかし、視力というものはその日の体調によっても随分変わる。近視であるからピント調節の機能が低下し、体調の変化を補正しきれない時がある。だから、完璧なる視度の補正は無駄な努力だということに気付いた。
そこで我輩は、「ピントを合わせる」という目的について考えてみた。

我輩が分析するに、MFでピントを合わせるという動作は、次のような動作があると考える。

まず第一に、ピントのボケているファインダーを見ながら、レンズのピントリングを回転させていく。ファインダーの像がだんだんハッキリしてくるが、ある程度行くと今度は再びボケてくるようになる。ピントの山を通り越したわけだ。
ピントリングを操作する時に、ある範囲内でピントリングを行ったり来たりさせるのは、ピントの山がどの辺りにあるのかというのを事前に頭にインプットし、その山型の曲線を無意識に思い描いているのである。最初からそれが山の部分であることは判らない。そこを通り過ぎて初めてピントの山に気付く。
だが、その山の位置は指の位置に関連付けて記憶されている。だから、慣れた者ならば1回は山を通り過ぎても、次の操作で一気にピントの山の位置まで戻ることが出来る。
(AFの場合では、ボケの量からあらかじめ合焦位置を割り出し、一気に合焦点までレンズを駆動する。測距点での像のコントラストが十分に高ければ、ピントリングが行ったり来たりすることは無い。)

さて我輩の場合、視力が低下しているとは言え、大きなボケと小さなボケの違いは判る。その比較によって、ピントの山を見つけることも不可能ではない。当然ながら視度補正レンズを用いてなるべく視度を合わせることは必要である。しかし、体調によって若干ファインダー像がボヤけて見えても、ピント合わせ自体には影響無い。


もちろん、現代はAFの時代だ。だが、これまで何度も書いたように、AFにはまだ多くの欠陥がある。思い通りのポイントに合焦出来ないということもその1つと言えよう。人間の視線は揺れ動くため、視線による選択も決定的とは言い難い。視線を気にするあまり、画面全体を見回してファインダー枠を視野とすることを忘れる。
しかも、AFに頼ろうにも、全てがAFでカバーできる訳ではない。中判以上となると645サイズがかろうじてAF化に乗り出した程度でしかない。

MFでなければ撮れないものがある以上、MFでの測距能力を枯らすわけにはいかぬ。