2000/04/05
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表紙

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2.用語集
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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[253] 2001年04月09日(月)
「今度こそフィルムスキャナ(後編)」

(前編からの続き)

・・・そんなわけで、我輩はここ数ヶ月間、フィルムスキャナをいろいろ探していた。

どうせならブローニーフィルムも取り込めるものが便利だと思ったが、やはり値段的に厳しい。ミノルタの比較的安価なものを選んだとしても、必要な付属品を揃えると30万円は必要。
当時、我輩の貯金でギリギリ何とかなるくらいだった。しかし、満足出来る性能だと事前に判っているならば思い切って購入してもいいかも知れないが、もし期待を裏切られればそのショックは計り知れぬ。
結局、色々と迷っているうち、我輩の貯金も20万まで減ってしまい、もはやそんな迷いも必要なくなった。

さて、今度は35mm専用のフィルムスキャナに絞って考えることにした。
まず、NikonのCOOLSCANは避けたい。そして、今までの写真をスキャンしなおすことを考え、スライドマウント原稿を連続読込み出来るタイプを選びたい。
だが、スライドマウントを連続読込み出来るタイプは、我輩の知る限りにおいては、皮肉にもNikonのCOOLSCANのみ。前回購入した「COOLSCAN LS-2000」の後継機「SUPER COOLSCAN 4000ED」が新しく発売されたようだ・・・。
さあ、どうするか。


数日後、我輩の手元に1台のフィルムスキャナが届いた。「Nikon SUPER COOLSCAN 4000ED」と、別売りアクセサリ「スライドフィーダ SF-200」。合計約21万円。
前回裏切られた「COOLSCAN LS-2000」ではあったが、インターネット上の様々な掲示板で酷評されていることから、「Nikonも汚名返上のために何らかの改良を施しているはずだ」と敢えて期待した次第である。これで裏切られれば、もう何も信じられなくなる。世を捨て山にこもって暮らすしか無かろう。



左から、「Microtek ScanMaker 35t plus」、「Nikon COOLSCAN LS-2000」、「Nikon SUPER COOLSCAN 4000ED」。




「Nikon SUPER COOLSCAN 4000ED」に「スライドフィーダ SF-200」を装着したところ。カバーを開けた状態。

このスキャナはIEEE1394接続タイプであるため、パソコンに接続させるには、付属の「IEEE1394インターフェースボード」をパソコンのPCIスロットに装着しなければならない。しかし、我輩のメインパソコンのスロットには空きが無い。
仕方無く、ビデオ録画/ビデオCD作成用として使っている別のパソコンに装着することにした。
ところが、これがまた認識してくれない。それもそのはず、これは「Windows98SE」以降しか使えないらしい。ハッキリと文章に書かれているわけではないが、説明書にはそれ以外のOSについては書かれていないため、自分でそう判断した。接続しようとしているパソコンは「無印Windows98」。
結局、「Windows98SE」のインストールからやるハメになってしまった。


「Digital ICE」
まず試しに、フィルム上のゴミや傷の影響を軽減する「Digital ICE」という機能を使ってみる。これはLS-2000でも搭載されていた機能であるが、その時は他の不具合に気を取られてそんなものを使う余裕など無かった。だから今回は一応期待を持っていた。
だが結果は無惨なものだった。全体が油絵調になって、とてもじゃないが使えない。
一瞬、虚脱感に襲われた。
しかしよく見ると、スキャンしたフィルムはコダクロームだった。コダクロームの場合、うまく「Digital ICE」が働かないとされている。そこで別のフィルムをスキャンしてみると、今度はキレイにスキャンしてくれた。ゴミもほとんど目立たない。これはなかなか良い。コダクロームさえ使わなければ。
コダクロームで「Digital ICE」が使えないというのは、恐らくコダクローム独特の裏面に原因があると思う。外式フィルムであるコダクロームの裏面は、映像の濃淡がそのまま凸凹として物理的に浮き上がっている。それ故、スキャナが凸凹をゴミや傷と判断して補正してしまうのだろう。これでは、一部分だけでなく画面全体に補正を加えてしまうことになり、画像も変わってくるのは当然だ。

「Digital ROC」、「Digital GEM」
「Digital ROC」は退色したフィルムの色を蘇らせるための、「Digital GEM」はフィルムの粒子のざらつきを軽減するためのものである。いろいろと試してみると、「Digital ROC」を無効にすると、ほとんど色が乗ってこない。だからこれは常に有効にしておくようにした。
だが、この処理が一番時間が掛かる。スキャン作業自体はそこそこ早いだけに残念だ。

「給送アダプタ」
6コマのスリーブ状フィルムを装填できる給送アダプタ(付属品)は、前回のLS-2000ではよくジャムった。今回もそれを懸念していたが、今回のアダプタは前回のような巻込み式ではなく、貫通式でフィルムがカーリングするのを防いでいる。
しかも、前回のものはジャムった場合にコインを使ってネジを外す必要があったのだが、今回のものは素手で簡単に外せる。これは、前回のタイプがジャムりやすいものだったことによる反省の結果なのだろう。
しかし、基本的に給送自体は安定している。これはクレームが一番多かった部分なのかも知れない。

「スライドフィーダ」
別売りのスライドフィーダは、マウントされたポジ最大50枚を連続的に読み込むためのアダプターである。
最初、全く動作しないため、故障しているのかと思った。このアダプタはスキャナに装着するとLEDランプが点灯するのだが、接続不完全状態でも点灯する。だから騙される。実はもっと深く差し込まねばならない。かなり強く押し込んで初めて動き出す。
さて実際のスキャン作業では、1コマ1コマの調整をドライバソフトの自動露出に委ねるしかないため、余程同じ条件で撮影されたポジでしか連続読み込みはさせたくない。違う撮影条件のポジを何枚か読ませると、階調がトンでしまうものがいくつかあった。それでもまあ、試してみた限りでは7〜8割ほどは満足出来る。調整無しで使えるものは滅多に無いが、それでも夜間稼働で無人取り込みが出来るというのは素晴らしい。
それにしても連続読み込みは時間が掛かりすぎる。「Digital ICE」、「Digital ROC」、「Digital GEM」を有効にしておくと、3000dpiで1枚あたり10分は掛かる。これは演算時間がほとんどを占めているため、パソコンの性能によってかなり違いがあろう。
しかし、我輩がメインパソコンにこのスキャナを接続しなかったのは正解だった。もしメインパソコンに繋いだならば、スキャン作業中は他の作業が何も出来なかったろう。メインパソコンには、書籍を取り込んでもらうという大事な任務があるのだ。

「全体的な感想」
このスキャナは、現時点ではまあまあの性能と言える。 驚いたのは、ネガフィルムの取り込みがかなり良いということだった。これなら、スキャン前提の撮影でもネガフィルムを使うことが出来る。
とは言っても、50枚の連続読込みが出来るのはマウントされたポジであるから、これからネガに移行するつもりは無い。それよりも、過去のネガ写真を生かせるという意味が大きい。
LS-2000で味わった不自然な階調表現も無く、フィルム上の情報を全て拾っている感じがしてよろしい。
ただ、説明書が分かりづらいのが困る。
冊子の説明書も添付されているが、PDF形式で保存されたCD-ROMの説明書も添付されている。そして両者は同じものというわけでもない。どこに何を書いてあるのか分からず、結局両方とも見なければならない。
しかも冊子のほうはスミ1色で刷っているのだが、薄いインクを使っているようで、捜しモノをしている眼には見づらい。スライドフィーダーの説明書のほうは、しっかりしたスミで刷っているのに、なぜ本体の説明書のほうはこのような余計なことをするのか理解に苦しむ。

もしLS-2000で満足している者がいるならば、それは、そのスキャナのファームウェアが最適なものが入っていることを意味している。その場合、下手にファームウェアをアップデートすべきではない。いったんファームウェアをアップデートすれば、古いバージョンには戻れないことは知っているはずだ。
もしアップデートしたならば、我輩のように無限地獄へと足を踏み入れることとなろう。手当をすればするほど、傷は広がってゆく・・・。



(2001年4月12日追記)
スライドフィーダーによってバッチスキャンした画像を開いてみると、時々素晴らしく美しい写真があるのに気付いた。リサイズ以外には何もやる必要が無いのだ。最初、それは単なる偶然かと思われたが、どうも濃度の濃い(ローキー)のポジという共通点があるように感じる。
まだコダクロームでしか試したことがないので一概に結論付けるのは危険かも知れないが、現時点の印象では、「濃度の濃いコダクロームで最良の画像を得られる」という感じだ。そう言えば、画面上でコダクロームを選択するメニューがあったな。
(ただし、本当にアンダー露出の失敗作品では、暗部が濁って使えない)

反面、コントラストの高いポジは階調がかなり失われる。スキャン前にコントラストの調節しようとも、ヒストグラムを見るとスキャン後にレタッチするのと同じ結果だった。

それにしても、夜間稼働でバッチスキャンをさせると、朝起きてまずスキャナを見に行くようになった。50枚もの写真が画像ファイルとなって画面上に並んでいると嬉しくなる。あとはレタッチするだけで良いのだ。今までなら、貴重な時間を割いて取り込んでいたものだったがな。
根を詰めてやっていると、色が解らなくなるので、取込み作業だけでも解放されると余裕を持ってレタッチ出来る。

しかし、ハードディスクの容量が足らなくなった。何しろ、各色16ビットで取込んでいるため、1ファイルあたり85MBにもなる。
ということは、これが50ファイルだと・・・。