2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
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カメラ雑文

[251] 2001年04月05日(木)
「小さな銃弾」

その昔、「ザ・ゴリラ」というアクションマンガがあった。
44マグナム(S&W製M29)やバントライン・スペシャルを使う刑事、通称「ゴリラ」が数々の事件に体当たりで立ち向かう。

このマンガでは、44マグナムの威力がかなり誇張されており、筋骨隆々のゴリラでさえ、最初の試し撃ちでは、44マグナムの反動で身体ごと跳ね飛ばされた。
しかも、ある時はマグナム弾で車のエンジンをブチ抜き、またある時はたった1発の衝撃波で4〜5人もの人間を脳しんとうで倒したこともあった。

今考えるとかなり笑える。まあ、ゴリラというキャラクターそのものが誇張された存在であるから、ソイツが使う銃が普通であるはずがないのかも知れない。

しかし、銃器というのは凄まじいパワーを持っていることに変わりは無い。
小さな銃に秘められたパワー。それは、銃弾(火薬)の力に他ならぬ。銃弾の入ってない銃は、単なる文鎮でしかない。

拳銃用の銃弾は、てのひらにスッポリ入る小さなもの。その小さなものが殺傷力を持つ程のパワーを持つ。この中に詰められている火薬が爆発することにより、強大な圧力が発生し、弾頭を高速で発射するのだ。
銃弾のサイズとその強大な力を考えると、そのエネルギー密度の高さが伺い知れる。
それ故、銃や銃弾の取り扱いを誤ると、思いもよらぬ事故によって被害を受けることも珍しくない。銃関係の雑誌(洋書)では、爆発した銃の写真を掲載し、ユーザーへの意識向上を訴えているページをたまに見掛ける。


では、カメラの話に移る。

我輩は、カメラを多数所有している。
筋金入りのマニアから見れば「フン、まだまだ甘いワ」と言われそうだが、普通に考えると、やはり多いほうに入る。
ある程度カメラの台数が増えると、どうしても目の行き届かないカメラやそのアクセサリがあるものだ。我輩の場合、ゼンザブロニカのモータードライブがまさにそうだった。

そのモータードライブは、使う場面が限られており、最後に使ったのはいつだったのかも思い出せない。だが、使った後そのままになっていたモータードライブには単3電池が装填されたままとなっていた・・・。
ある日、我輩は久しぶりにモータードライブを装着することにした。だが、電池ホルダーが取り出せない。ネジをいくら回そうとも、それは全くビクともしないのだ。
よく見ると、電池ホルダーの入っている部分がわずかに膨らんでいる。電池が腐食して膨張しているのが原因だった。

その後、なんとかホルダー部分をこじ開けることに成功。だが、ホルダーとホルダー室は見るも無惨な状態になっていた。しかし発見が早かったこともあり、丹念な清掃によって、外見はともかく機能は復活できた(だが今でも、時々は接点部分を磨かなければ緑の錆が浮く)。

電池は年々高性能化が図られ、写真用として使われるものでは特にその傾向が大きい。
それはすなわち、電池には意外に大きなエネルギーが込められていることを意味する。その扱いを誤れば、込められたエネルギーの行き先が別の方向へ変わるかも知れぬ。

エネルギーというものは、様々な形へ変換される。人間は、自分の都合の良い変換だけを取り出して利用する。カメラの場合、電力をモーターの電磁気力へ、そしてギアを通して物理的な力へ変換する。またフラッシュのように、電力を光に変換することもある。

我輩の場合、本来ならば電力だけを利用するはずのものを別の方向に向けてしまった。それは、電池の腐食と、膨張による圧力だった。
もし発見が遅れれば、その腐食と膨張は修理不能なほどに進んでいただろう。このモータードライブの構造上、ホルダー室とそれ以外の部分はキッチリと仕切られていないように思える。液漏れによってホルダー室以外も破壊されていた可能性は否定出来ない。


AFやワインダー、内蔵ストロボを全て駆動するエネルギー源として、電池はもはや無くてはならぬ存在となった。今や、電池の高性能化を前提としてカメラの性能が決められる。電池の不良はすなわちカメラの不良。

そう言えば、我輩が「Canon EOS630」を使っていた時代、一部のメーカーのリチウムパック電池に不具合があり、発火の恐れがあるというアナウンスがあったことを思い出した。

もちろん、電池の高性能化に応じて、電池メーカーも安全策を講じるのは間違いない。だが、どんなに安全と言われる電池があったとしても、扱いを誤れば予想外の結果を生む。

強力なパワーを秘めている小さな電池。
場合によってはカメラ全体を静かに破壊する。それだけの力が電池にはある。銃弾のエネルギーには及ばないかも知れないが、電池はエネルギーの塊であることを常に意識すべきだろう。