2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[221] 2001年02月02日(金)
「変わったものとは」

同じカメラを前にして、それに触れた時代によって印象が異なるのはどうしてだろう・・・?
答えは1つしかない。

我輩が昔から関わっているカメラに「キヤノンAE-1P」がある。このカメラほど、我輩に色々な印象を与えたものは無かったろう。
ここでは、年代ごとにその印象を書いてみようと思う・・・。



−−−<中学時代>−−−

中学生当時、我輩は初めて買った一眼レフ「キヤノンAE-1」を、オカチンに「1年間の買い食い」という条件で譲り、自分は「AE-1P」を購入した。

これを購入するまでは、カタログの写真を眺めて暮らしていたものだった。
ブラックボディとクロームボディの2種類が用意されていたが、ブラックボディの姿には心底惚れ、「いつかこのブラックボディを手に入れるぞ」と決めていた。

当時は「AE-1P」よりも高性能のフルモード一眼レフカメラ「A-1」が人気だった。しかし、 我輩にはゴチャゴチャした「A-1」よりも、スマートでムダの無い「AE-1P」のほうに魅力を感じた。決して金が無いから「AE-1P」にしたのではない。
その証拠に、次のようなエピソードがある。

強がりモノの友人Kは「A-1」を持っていた。そしてカメラ仲間に自慢したりしていた。しかし我輩は、自分の「AE-1P」に誇りを持っていたので、このカメラの素晴らしさについて語って聞かせた。

「A-1のダイヤルは固いが、AE-1Pのダイヤルは軽くスピーディーに設定出来る」
「デザイン的には似ているが、よく見ればAE-1Pのほうが洗練されている」
「電池の保ちがいい」
「ファインダースクリーンがニュータイプのスプリットプリズムになっていて暗いレンズでも翳(かげ)らない」
「A-1と同じアクセサリが使える」

確かにその場では、友人Kは「A-1」よりもランクの低い「AE-1P」を認めなかった。しかし、我輩が事あるごとに「AE-1P」の素晴らしさを語って聞かせると、友人Kも少し考えが変わったようだった。
そしてある日、友人Kは「A-1」が「AE-1P」よりも高価であることをさりげなく言ったあと、「・・・交換してもいいぞ」と言った。
あろうことか、自分のカメラと我輩のカメラを交換しようと言ってきたのだ。「A-1のほうが高いんだから文句は無いだろう」とでも言うつもりか。
交換なぞするか、バカモノ。

・・・とまあ、我輩にとっては「AE-1P」は最高のカメラだった。もちろん、「ニコンF3」はそれ以上に素晴らしいカメラだったが、それは大人の道具であるという意識があり、最初からそれは頭に無かった。


−−−<高校時代>−−−

「ニコンF3」を意識し始め、我輩の中の「AE-1P」の位置が相対的に少しランクダウンした。しかし、受験に忙しかったこともあり、全般的にカメラとは縁が薄い時代だった。


−−−<大学時代>−−−

大学時代にはミノルタのαを導入した。
しかし、金銭的に余裕が無かったため、「AE-1P」を手放すことにした。
この時になると、AFカメラの派手さに「AE-1P」は色褪せて見え、前時代的にしか思えなかったのだ。
当時は「α-7700i」の時代で、まだそのデザインや機能に知性が感じられた時だった。だからもう、「AE-1P」に用は無い。
今思うと、その時は中学時代の「AE-1P」に対する憧れの気持ちは全く忘れていた・・・。


−−−<社会人時代>−−−

AF熱が冷め、初めて「ニコンF3」を手に入れた。その流れで、その後いくつかのMFカメラを買うようになる。その中に、「AE-1P」が入っていた。
初めは懐かしさで購入したのだが、ある日実家に帰った時に発売当時のカタログを持ち帰り、あの頃の憧れの感情を取り戻した。
カタログには宇崎竜童が「AE-1P」を構えている。そのカタログを前にした我輩は、一瞬、中学時代に戻ったかのような錯覚にとらわれた・・・。



「キヤノンAE-1P」。それは、我輩の青春時代の空気を胸一杯に吸い込んだカメラである。その姿は、昔も今も変わりは無い。
しかし、これほど印象が変わって見えるカメラも無いだろう。一体何が変わったのか。

変わったものは・・・、他でもない、それを見る人間そのものであった。