2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[210] 2001年01月22日(月)
「もしもの時のため」

ガシャーン!

その日の夜7時頃、我輩が帰宅しようと町屋駅近くを歩いていると、数十メートル離れた背後で、壮絶な音が響き渡った。
我輩は「博多屋」の回転焼きを買って帰ろうとしていたのだが、そんなものは頭から吹っ飛んで、音のするほうへ急いだ。
そこは交番のある交差点のすぐ近くだったが、人だかりがあってよく見えない。そのうち交番の警察官もやってきた。
そこに横たわっていたモノを見た時、我輩は思わずカメラをカバンに探した・・・。



我輩は昔、通勤カバンの中に小さなカメラを入れていた時期があった。
ハーフサイズの「オリンパス・ペンD」というやつで、一眼レフではないが絞りとシャッタースピードが任意に変えられる。
なぜそんなカメラを入れているかと問われれば、「もしもの時のため」と答えたろう。

「もしも」というのは、漠然とした「もしも」であって、特に何かの使命を感じていたわけではない。いつも片手にアメを持っていないと落ち着かない子供のように、突き詰めて問われれば大した理由があるわけでもない。強いて言えば、交通事故かUFO目撃くらいなものか。

そう言えば、夢の中でUFOを目撃することがある。そして必ず、必死になってカメラを探し回るのだ。
「早くしないとUFOが遠くに行ってしまう・・・。」

「オリンパス・ペンD」を選んだ積極的な理由は無く、ただ単に我輩の手元にあるカメラの中で一番小さいものだったからだ。 そうは言ってもこのカメラ、意外にズシリと存在感がある。
最初はまだ良かったが、そのうち荷物が多い時にカメラを出したまま、忘れ去られた。

オリンパス・ペンD
ハーフサイズのコンパクトボディながら、絞りもシャッタースピードも任意に選べる。ピントは目測式で、レバーの位置で大体の距離を手探りで設定出来る。露出計はセレン式で、ボタン電池さえ必要としない。


・・・ほんの数分前に横断歩道を渡った町屋駅前交差点だったが、引き返してみると歩道に人だかりが出来ていた。自転車で通りかかったオイちゃんも、首を伸ばして覗き込んでいる。
そこには何かが横たわっているようだった。白くて大きいモノ・・・。冷蔵庫か?

よく見ると、それはうつ伏せに倒れた自動販売機だった。それが歩道の真ん中で道をふさいでいる。日常ではあまり見掛けない光景であり、一瞬、我輩はカバンの中からカメラを探そうとしたが、そんなものは都合良くあるはずもない。

その奇妙な光景は、あたりを見回すとなんとなく理解出来た。
その歩道の隣には駐車場があった。そして駐車場と歩道の間には自動販売機が3〜4台ほどあり、そのうちの1台が歩道に倒れこんでいるように見えた。
よく見ると、駐車場に駐車しようとした車が歩道側に少しハミ出ている。そうか、バックしすぎて自動販売機を押し倒したのか。

まあ、ちょうど歩道を歩く人間には当たらなかったようで、笑い話のネタにはちょうど良かったが、手持ちにカメラは無く、こんな光景を残しておけないのが少し残念だった。

いつも通る道だとはいえ、1日に2回通る程度で数分もその場に留まることはない。少しでも時間がズレていればその光景には出会わなかったろう。自動販売機も警察官の協力ですぐに起こされるに違いない。
そう考えると、このような場面に遭遇するのは「巡り合わせ」と言うに足る。


今なら軽量なデジタルカメラを常に持ち歩けるかも知れないが、電子手帳のように電池のチェックを頻繁にやらなければならないのが苦痛だ。面倒くさがりの我輩向きではない。もしもの時に使うカメラであるのに、もしもの時に使えないのでは困る。

今度は使い捨てカメラでも入れておくかな、と思わせる出来事だった。