2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[178] 2000年11月13日(月)
「auto110」

我輩は中判カメラにそれほど思い入れは無い。中判には画質要求に対するウェイトが大きく、それ以外の要求は無いのだ。
元々、その大柄なボディに緻密感を感じないということもあるが、それ以上に35mmカメラの発達は頂点を通り越えて蛇足の域にまで及ぶほどの勢いである。失敗に終わったカメラから名機と言われるカメラまで、各メーカーから様々なタイプのカメラが無数に出ている。メカニズムとしては35mmに勝るカメラは無いだろう。
だから、35mmカメラというのはハードウェア的に面白い。

しかし、我輩が時々気になっているカメラとして、「PENTAX auto110」がある。これは、昔懐かしのポケットフィルム(110サイズ)を使う一眼レフカメラだ。

当時はポケットカメラというと、横長の安いカメラしか無かった。フィルムカートリッジ形状の制約もあって、それほどメカニズムにバリエーションは生まれなかったのだ。
しかし、この「auto110」は35mmカメラをそのまま小さくしたようなものだった。

ペンタックスというメーカーは、中判カメラでも35mmカメラをそのまま大きくしたようなものを作っている。フィルムサイズが違えばカメラのサイズも変わるということを、ここまで素直に具現化するのもスゴイと思う。

それぞれのフィルム規格によってもちろん苦労があろうが、大きな中判に「苦労したろうな」とはなかなか思わない。しかし、ポケットフィルムを使う一眼レフというのは、話を聞いただけで「苦労したろうな」と思える。そしてカタログなどで写真を見たり、店頭で現物を見たりすると、その思いはより一層強くなる。

あんな小さなレンズが交換式だということ、色々なレンズが用意されているということ、生意気に外付けワインダーが用意されていることなど、どうして感動せずにおれようか。

最近、ニコンFなどをミノックスサイズのフィルムを使うミニチュアカメラとして再現したものが出ているが、やはり小さな再現物というのは、メカニズムファンには気になる存在であろうかと思う(残念なことに、これは外見だけの再現だが)。

余談だが、銃器の世界でも、ミニチュア・ガンのファンは存在する。それは実物と全く同じメカニズムを持っている。そこが楽しいのだ(そのため、日本では銃刀法に引っかかる)。


さて、記憶に新しいと思うが、1980年代の終わり頃、ポケットフィルムを使う「ヤドカリカメラ」が流行ったことがあった。
「ヤドカリカメラ」とは、ポケットフィルムよりも小さなオモチャカメラのことである。フィルムを装着すると、フィルムカートリッジがカメラからハミ出すためこう呼ばれた。
各社から色々発売されたが、結構OEMと思われるような酷似したカメラが多かった。その中でも「セルビ」というカメラ名はよく耳にした。

多くはフィルム交換可能カメラであったが、フジフィルムだけは「写ルンです」という使い捨てタイプであった。その後、フジフィルムは35mmバージョン「写ルンですHI」と展開を広げ、独自の市場を作ることになる。
しかし結局、ポケットフィルムの市場は、この「ヤドカリカメラ」の流行の廃れの渦に巻き込まれて根絶してしまった気がする。

今では、ポケットフィルムは大きなカメラ店でしか手に入らない。あるいは小さな店で10年前に期限が切れたものがあるかも知れない。
いずれにせよ、現像環境も良いとは言えず、事実上絶滅したと考えたほうがいい。

もし我輩がこのような環境の中で「PENTAX auto110」を買うならば、これは単なるオモチャにしかならないだろう。それはカメラとして全く意味が無い。そこが悩ましい。

そこで、フィルムメーカーに対して実現不可能な提案を1つしたい。
わざわざ「実現不可能」と書いているのは、採算が取れないということが明らかだからだ。それを承知で敢えて言わせてもらうとするならば、ポケットフィルムカートリッジ形のデジタルカメラを発売して欲しい。
それをポケットカメラのフィルム室に装填すると、古い110カメラがデジタルカメラとして甦る。もちろん、他に消えて行ったフィルムフォーマットについても、同様の製品を発売する。
これはフィルムメーカーとしての責務だと思うが・・・、やはり無理過ぎる要求だろうな。いや、ただ言ってみたかっただけだ。