「ホームページ制作セミナー」というものが荒川区で開かれる。一般市民向けのセミナーである。そしてなぜか、我輩がその講師として任命された。会社の業務であって、アルバイトじゃないぞ。
我輩は、任命される瞬間まで、ウチの会社がこのような業務を行っていたということを知らなかった。
いつもは外部講師を呼んで行われていたらしいのだが、安い仕事らしく今回からは拒否されたという。そこで、我輩にこの話が回ってきた。
セミナーの内容としては、シロウトにホームページ制作をレクチャーするということなのだが、
IBMの「ホームページ・ビルダー」という
HTML作成ソフトを使うことになっている。
我輩は、そのようなソフトは使ったことが無い。いつも使っているソフトは「メモ帳」であり、メモ帳で開けないような大きなファイルは「
Em-Editerフリー版」というテキストエディタでガシガシ作る。我輩の性格そのままだ。
妙なソフトを使うと、変なタグを入れてくる場合がある。あまり入れたくないタグなども平気で入れてくるのが頭に来る。まるで全自動カメラを使っているような感覚だ。こちらの思い通りに作り込むには、テキストエディタに勝るものは無い。それはまるで、ダイヤル操作のマニュアルカメラを使っているかのようだ。
頻繁に使う
<TABLE> タグや
<CENTER> タグなどは一瞬でタイプできるようになった。慣れてくると、複雑な表組でもタグを見れば形が見えてくる。自己鍛錬の成果である。
「ソフトを使って自動生成すれば、タグの間違いも無く、簡単確実じゃないか」
それは確かにそうだ。タグを手動で打ち込んだところで得することは何も無い。円周率を何十桁も覚えて自慢するバカと同じことだ(それも我輩)。「だから何なんだ」と言われるレベルの話でしかない。
だが、ソフトの使用法などはバージョンが違っただけでガラリと変わる。ましてや違う会社のソフトならば、最初から勉強しなおしとなる。カメラで言えば、違う操作体系の機種に乗り換える苦労と同じだ。
もし、根幹の原理が解っていれば、このような苦労は軽減されるだろう。カメラを替えても「絞り」と「シャッター」の調節という大原則は変わらないように、ソフトを替えても
HTMLの文法は変わらない。
セミナーの主催者側は、ホームページ・ビルダーの使用法を主にやりたいらしいが、我輩はその目を盗んで独自の洗脳を行う計画を立てている。HTMLの原則を学ばせ、メモ帳でホームページを作らせるのだ。
たまに「応用編」としてホームページ・ビルダーを使うが、基本的な使い方を教えるに留める。どうせ、ソフトの使い方などは参考書を読んだほうが詳しいからな。
このセミナーは、安易に依頼通りのセミナーを行うよりも「自分が何をやっているのか」ということを一般市民に意識させるためのチャンスである。
このようなゲリラ活動が浸透していけば、やがては写真についても、カメラ任せにすることへの疑問が生まれてくるかも知れぬ。それは思想や理論ではない。洗脳による「すり込み」であるから、感情に訴えることになろう。「カメラ任せにするのは気持ちが悪い」とか「自分の知らないところで調節されるのはカンに触る」という具合だ。
ゲリラ活動は、11月〜来年1月の間で行われる予定である。その後も何度かあるだろう。