実家に「ミノルタα-7000」を土産に持って帰った。
1万2千円で購入した中古だったが、高そうに見えるらしく大騒ぎだった。そしてやはり、我輩が脇に持っていた「ニコンF3/T(白)」のほうが安く見えるという。
まあ、カメラに詳しくない者はそういうふうに思うのは当然だ。まさか、この白いカメラのほうが黒いAFカメラよりも10倍の値段だとは思うまい。
ただ、使用説明書が無く、とりあえず基本的なことについては、我輩手製の説明書を渡した。しかしそれでも難しいようだった。
我輩がこの手製説明書を作る時、用語にかなり気を使った。カメラに詳しくない者を相手に書くのであるから、余計な混乱を招くような言葉は控えなくてはならない。そういう意味で、横文字などは一般的に使われる言葉に訳す必要がある。例えば、「プログラムリセットキー」は「全自動復帰ボタン」などというふうに。しかし現実には、訳しようがないものもかなり多い・・・。
カメラメーカーでは、新しい一眼レフカメラを作る時には、当然ターゲットを想定するだろう。その時、もし「初心者」がターゲットとなるならば、かなり苦労が多いのではなかろうか?
シロウトには余計な混乱を招くような機能は排除したいと思うのは自然なことだ。いくら高機能を謳ったところで、「ムズかしい」と思われてしまえば初心者は手を出さぬ。それで一時期、プログラムモードしか持たない一眼レフカメラが現れたりした。
我輩も、「せっかく買ってきたのだから、うまく活用してもらいたい」という気持ちでシロウト向け説明書を作った。「ムズかしい」と思われてしまえば、ホコリをかぶることになるのは避けられまい。だから、メーカーの気持ちが解る気がする。
しかし、プログラムモードだけで撮るのは限界がある。
ある家庭では、少しカメラに興味を持ったお父さんが写真の本を買い、「絞り優先モード」や「シャッタースピード優先モード」などを知ることとなる。
そうなると、今持っているプログラムオンリーのカメラが急に安っぽくなってしまうのだ。
またある家庭では、一眼レフは最初こそ物珍しかったのだが、コンパクトカメラでも仕上がりが変わらないプログラムオンリーであるため、次第に稼働率が低くなってくる。
どの分野でも同じだが、初心者というのは、なかなか扱いが難しい。その点においては、我輩はメーカーに同情する。
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ここで「初心者」と呼ぶのは、自分の力だけでは写真のことが勉強できない者のことを指す。
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