2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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 FM3A
 FM2
 FM
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カメラ雑文

[097] 2000年 7月26日(水)
「離れて初めて知る」

大学時代の4年間、我輩は実家の九州を離れ、島根県松江市に住んでいた。今思うと、その大学時代の写真が少ない。
その頃は、風景などに興味無かったのだが、せめて我輩の身の回りにある風景くらいは撮っておくべきだったと悔やまれる。

松江市とは、山陰の観光都市で、「水の都」とも呼ばれる城下町。
しかし、ここに移り住んだ当初はまだ新鮮味があったものの、時が経つにつれ、名所が名所でなくなっていった。 「そのうち撮影しておこう」と思った場所もあったが、その気持ちも、日常の営みの中でボヤけて消えた。

また、アルバイトに行く途中、有名な武家屋敷の前を通るのだが、週に何度も通るため、ほとんど当たり前の存在として感じられ、名所だとは気付かなかった。「そう言えば、観光バスが止まっていたような気がするな」という程度の認識しかないというのが正直なところ。
その名所は観光情報誌などに載っているが、その写真を見ると、あらためてそこに行ってみたくなってきた。数え切れぬほど通ってきた場所なのだが。

撮っておけば良かったと思う場所は他にも多い。しかし実際は、その場所へ赴いても写真に残したことはほとんどなかった。じっくりと撮影のために行ったわけではなく、友人ら数人とちょっと寄ってみたというような、全く計画しないものだったということも原因かも知れない。
車で昼食を食べに行き、その足で、「よし、今から日御碕(ひのみさき)に行ってみようか」とか、「宍道湖(しんじこ)一周してみようか」という話が持ち上がる。それは、その場の思いつきで決まる。

それならば、もっと小さな、いつでも携帯できるようなカメラを持っていれば良かったか。当時は2台(メイン・サブ)の一眼レフは持っていたが、コンパクトカメラなどは持っていなかった。そんな軟弱カメラはカメラとさえ思っていなかった。


松江は観光都市であるが、田舎に変わりない。見どころは散在し、もし今から旅行に訪れたとしても、数日の滞在では、とても全て巡ることなどできまい。地元に住んで初めて撮れるような些細な場所も多くある。そういうのがかえって心に残っていたりする。

写真に全てを残すということに意味は無いかも知れないが・・・、それにしても写真は少なすぎた。
だが、もし仮に、今から全ての見どころを巡って撮影することができたとしても、あの時の、二度と戻らない時間は写しようがない。タイムマシンでもあれば、過去の自分に「今、身近な場所を撮るべし」と忠告することもできようが・・・。

そう考えた時、ふと、思った。
もしかして、未来の自分がまさに同じことを言わんとしているのではないのか。「今、身近な場所を撮るべし」と。

今住んでいる松戸市は松江市のような観光都市ではないが、写真に残しておくべき場所があるのだろうかと考えてみた。それは、あまりに身近すぎて、自分の意識に上らないものか。そこを離れて初めて知るはずの懐かしさとは?

分からなければ、とにかく今、シャッターを切ることか。