2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
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 MZ-5
 MZ-3
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OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
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 RX
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MINOLTA
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 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[086] 2000年 7月15日(土)
「趣味はニコンです」

我輩が、仕事で「江ノ島電鉄(株)」に取材に行った時、広報担当者からは「江ノ電の歴史についての詳細な資料は社内には無い」と言われた。過去の火災により、大部分が失われてしまったという。そのため、古い資料などは沿線の江ノ電ファンに頼ることになる。

「江ノ電ファン」。彼らは、実に丹念に写真を撮り、資料を残し、記録を付けている。仮に、江ノ島電鉄社内の資料が火災で失われずとも、その圧倒的情報量は価値を失うものではない。
また、地元(藤沢)の「江ノ電沿線新聞社」という出版社を訪ねてみると、そこは江ノ電の資料庫とも言うべきところだった。代表取締役は、江ノ電が好きで始めたというから、まさしく趣味が高じて・・・という感じか。


さて、ニコンというメーカーは面白い。
探せば色々な情報があり、手詰まりになるということがなかなかない。ネタは、現行製品だけでなく、過去の魅力溢れるカメラや、特需向けカメラ、そしてそれらの製品が現場でつくり上げた様々なエピソード。
また、ニコンから内輪的な情報も出てくることがある。販売店向けに配布される「ニコン新聞(※1)」や「セールスマニュアル(※2)」なども、手を抜かずきちんと編集されているあたりが、なかなかマメなところだ。
そして、知りたいと思うような情報も、どこかでオープンになっている。我輩がF3のピンホールミラーの製造手順を知っているのは、別にニコンの工場に潜入したからではない。そういう情報が過去に発信されたことがあるからだ。どんな情報も、丹念に探せば必ずどこかで発表されているものだ。
もちろん、企業秘密というものも当然あるだろう。しかし恐らくニコンのことだから、フタを開けてみればどうでもいいような秘密(我々から見ると)だったりするのではないだろうか。

ニコンはユーザーと共に製品を開発していこうとする姿勢がある。現場の細かいニーズに応じ、積極的に改造にも応じているようだ。まあ、それはプロ向けに限ったことであるが、しかしそれは一般ユーザーを差別しているということではない。ユーザーの問い合わせに対して、誠実に、そして親身に答えてくれる姿勢がある。それはたまたま、我輩の問い合わせに当たった担当者が親切だっただけなのかも知れないが、やはり会社の社風が現れているように思える。


従業員数6千人を越える大企業、ニコン。歴史もあり、ユーザーも全世界にいる。それゆえ、社員1人1人が会社の全て知るということはまず不可能だろう。ヘタをすると、ユーザーのほうが詳しかったりする。しかし、それは会社としては恥ではない。江ノ電の場合と同じく、それはマニアの領域なのだ。もちろん、ニコン社員として最低限知っておかねばならぬ会社の歴史や製品情報はあろうが、マニアの領域から見れば、それはほんの一部分でしかない。
趣味には色々なジャンルがあるが、「写真」や「カメラ」とは別枠で、「ニコン」という趣味のジャンルを設けても許されるような気がする。
今度、試しに「私の趣味は、ニコンです」とでも言ってみるか。



(※1)
ニコン新聞
社内報のような雰囲気の紙面で、販売店向けに編集され配布された印刷物。内容は、新製品説明会会場案内や販売中止になった製品一覧、マーカーによるポップ書体のプライスタグの書き方、全国のカメラ店の紹介コーナー、会社幹部の人事、イベント情報など。

(※2)
セールスマニュアル
ニコン製品を販売するための販売の手引き。機種ごとに冊子が存在し、それぞれ、ニコンのユーザー統計に基づいた分析や、「初心者には〜を強調して説明してください、ベテランには〜を強調して説明してください」などというターゲット別のPR項目がある。



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