2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[060] 2000年 6月19日(月)
「成熟カメラ」

今回は純粋に、カメラを工業製品として見てみたい。
金属製であろうが、プラスチック製であろうが、デザインが良かろうが悪かろうが、ここでは無視する。

まず、普通の工業製品は、新しいものほど改良され、性能が向上する。パソコンが良い例だ。「古いモデル」とはすなわち、「遅くて使い物にならない」ということでもある。
エアコンや冷蔵庫も、新しい物ほど消費電力が小さく、冷媒もオゾン層を破壊しない代替フロンが使われている。
自動車も、新しいもののほうが、安全基準を厳しく受け、環境や燃費のことも考えられている。

では、カメラの場合は・・・?

かつて、カメラに「カードシステム」や「バーコードシステム」なる機能が盛り込まれたことがあった。しかし、それが時代をリードしていったという記憶は無い。結局は尻すぼみで消えた。現在の新製品を見ると、一時期見られたような「アイデア合戦」も収まり、機能的には15年前とあまり変わるところがないように思える。メーカーもやっと気付いたか?(しかし、たまに変なものも出る)

我輩は、カメラは既に成熟の域に達していると思う。もう改良する余地はほとんど無い。巻上げ速度など、無制限に早ければ良いというものでもないだろう? これ以上の余計な改良は蛇足になる恐れがあると考える。
(プロ用カメラに要求される究極的な性能は別問題だが)

結論から言うと、カメラの進歩だけで失敗写真を無くすことは出来ない。なぜなら、失敗写真とは人間が決めることだからだ。
例えば修学旅行で、さりげなくクラスメートを写した写真の隅に、気になるあの娘を狙ったとしよう。もしフレームに入っていれば成功写真だ。しかし、運悪くフレームアウトしていれば、失敗写真である。いかに写真としてうまく露出やピントが合っていようと、目的が達成できなければ失敗写真でしかない。カメラにそんな複雑な事情など理解できようか。

初心者に優しいとは言っても、初心者はどんどん甘える。カメラに手取り足取りやってもらっても、いずれ、それすら不十分だという輩も出てくるであろう。勉強しないのが当たり前になってくる。

インターネットのプロバイダにかかってくる電話の中に、こんなものがあるそうだ。

「あのー、パソコン買ったんですけど・・・。」
「はい」
「何をやればいいんでしょうか?」
「は?」
「パソコンで何をすればいいんですか?」
「・・・当社はプロバイダですので、インターネットの接続ならご案内できますが・・・。」
「え、インターネットって何ですか?」

にわかに信じがたい話だが、実は他にも似た話は耳にする。珍しいことではないのだろう。これでは、いくらパソコンを簡単にしたところで無駄に終わる。サルにかかれば、どんな優秀な機械も「役立たず」でしかない。

これはカメラの場合でも同じ事が言える。
最近は、写真を始めようとする初心者が増えてきたそうだ。しかし、写真というものを根本的に理解していないサルが写真を始めようとする場合もある。もし、フィルムを入れ忘れて「写っていないじゃないか!」とクレームを付けるようなサルがいたら、メーカーはどうするつもりだ?フィルムを入れ忘れたら自動的に買いに行くカメラでも開発するのか?それはメーカーの自由だが、そんな余計な機能のついたカメラなど欲しくはない。

これは極端な想像だったかも知れないが、早い話、現状はそれと同じだ。基本的な機能はもう成熟している。初心者でも、ある程度勉強している者なら今のカメラは楽に使えるだろう。しかし、勉強もしないヤツは「初心者」とさえも呼べぬ。無免許運転の者が「初心者」と呼ばないのと同じ事だ。そんなサルにカメラを適合させようとしても、行き着くところなど最初から無い。振り回されるだけだ。メーカーよ、やめとけ。

・・・とは言っても、他メーカーとの競争という現実がある。それを考えると、同情を禁じ得ないな・・・。