2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[048] 2000年 6月 7日(水)
「それは絞りの形だぞ」

レンズの絞りの形というのは、たまに世間を騒がせることがある。

我々がよく、「円形絞りが・・・云々」というのは、絞りの形がボケ具合に影響することを気にしているからである。
絞り機構の製造はなかなか難しく、絞りを構成する「絞り羽根」の枚数によってコストが増減するという。一般に、絞り羽根の枚数を多くすれば、多角形の絞り孔も円形に近付く。すなわち、コストが掛かっていないレンズには円形絞りは望むべくもないということになる。

「月刊ムー」という雑誌に、「日食観測中に撮られた十字架の写真」というものが掲載されたことがあった。これは、日食の様子を写真に撮ったら、そこに十字形の光がオーバーラップして写っていたというものだ。紙面では、「これは世紀末における神の啓示だ」とかなんとか言っていたような気がするが、後日この写真は別の雑誌によって否定されてしまった。
要は、安いカメラで太陽を撮った時のゴーストが写ったというのだ。太陽を撮るということは、すなわち逆光ということであり、ろくにコーティングもされていないレンズでは容易にゴーストが発生する。ゴーストは、一般的に絞りの形が出るのであるが(五角形のゴーストはよく見掛ける)、そのカメラは安物であったため、2枚の絞り羽根しか使っていないものだった(下図参照)。

2枚羽根絞りの動き

お分かりだろうか、ちょうど十字形の絞りが現れる位置があるのだ。
他にも、心霊写真の中には「五角形の霊光が出た」というものもあり、それはまさしく一般的な五角形の絞りの形のゴーストだった。・・・まあ、「ゴースト=お化け」という意味だから、間違ってはいないとも言えるが・・・。

最近は「矢追純一のUFO特集」や、「奇跡体験アンビリーバボー」などでも間違いが多い。
「アメリカ△△△州で捕らえられたUFOのビデオ映像」と題して、UFOの映像がテレビで流される。そこにはまず、点光源が空に浮かんでいる。撮影者がズームしたのか、ググッと映像が大きくなる。すると、その点光源が形をもった物体として映し出される。
しかし、よく見ると何か変だ。

まず、UFOの形が変だ。いくら光っているとはいえ、あまりに平面的なのだ。これは直感的な感想であるから、どこがどのようにという具体的な説明はできないが、とにかく最初に違和感を持つ。

それから、ズームの速度と物体の大きさの変化が一致していないという点だ。ズームは一定の速度で画面を拡大しているはずなのに、UFOの光がある地点で急激に大きくなる。

このことから考えると、この光はあくまでも点光源なのだ。点光源はどんなに拡大しようと形にはならない。夜空の星を望遠鏡で見ても点に変わりないのと同じことだ。恐らく、この光源はかなり遠方にある。
では、なぜUFOの形に見えるのか。それは、ビデオがズームアップして、フォーカスを合わせる目標を失ったため、ピントがボケてしまったのだ。AFというものはコントラストの無い画面ではピントを合わせることが出来ないから当然だ。そのため、点光源がボケて拡大され、見事にビデオの絞りの形が現れてしまったのだろう。よく見ると、UFOの形は、典型的なビデオの絞りの形をしている。
(まあ、点光源がUFOであるかどうかは別の話だが)

この番組では、「別の地域でも同じ形のUFOが映像として撮られた」と言っている。ビデオカメラの機種が同じなら、UFOの形が同じに写ってもおかしくはない。

驚いたのが、映像の専門家という人間がその番組に出演し、映像を検証していた点だ。
「これは確かにその場所に何かの物体が存在したとしか考えられませんね。」と言っている。
専門家と言っても、専門バカだ。正しい結論を出すには、広い知識が要求される。単にビデオカメラを使うのが上手いからといって、その人間がビデオカメラのメカニズムに精通しているとは限らない。