2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[044] 2000年 6月 2日(金)
「学力低下」

今、教育が危ういらしい。
特に、論理的思考を要求する算数・数学の面では、「ゆとり教育」の一環として、授業内容の大幅な削減が行われるという。
例えば、台形の面積の公式は削除され、円周率「3.14」は「3」となる。
「3.14」が「3」になった場合、当然、円の面積や球の体積の誤差が大きくなる。いくら「パイ」を使ったところで、計算の最後で「パイ=3」と置き換えてしまったら、同じ事だ。

精度の高い答を追求するよりも、なるべく楽をしようとするような安易な人間が大量生産されるようになったら、我輩は迷惑だ。
「他人のことなど関係ない」と達観できれば良いが、人間というものは、社会で結びついている。意識せずとも、必ず影響を受ける。

最近、引伸し機にはあまり良いものが無いと言う。一般の人間は、高級なカメラは持ってはいるが、引伸し機には無頓着だという(我輩もその中に含まれるが)。
引伸しという作業は、ある程度は写真に「入れ込んだ」人間がやることである。しかし、現実には我輩のような中途半端な者が多く、引伸し機への要求スペックは極端に低い。当然、要求スペックが低ければ、メーカーも余計なコストを掛ける意味を失い、品質は低下することになる。

一眼レフカメラの場合、何が要求されるだろうか?
それは、現在の製品群を見れば、何となく分かるような気がする。

昔は、一眼レフというのは誰にでも扱えるような代物では無かった。使う人間を選ぶ道具だった。
それだけに、一眼レフを使うために努力し、知識を増やして行った。うまく写らなければ、それは使い手が未熟なだけなのだ。
しかし、今は一眼レフなどは、特に写真の知識が無い者でも気軽に買っている。簡単で、値段も安い。しかしその分、うまく写らないということがカメラのせいにされることが多くなった。自分の知識の無さは省みられることはない。

そういう連中が、全体的なカメラのレベルを下げていることは間違いないだろう。
使い易いということよりも、「シロウト受けするデザイン」、「恥ずかしいネーミング(「EOS接吻」、「α−甘い」など)」、「電子手帳並みの多機能」、「異常なまでの軽さの追求」という、いわゆるトレンドを追いかけているのだ。
当然、製品のサイクルが短くなり、それに巻き込まれて貴重なモデルさえ失うことになった。

これから、日本はどうなるのか?
社会問題には関心無くとも、カメラの進化はどんどん安易な向きへ変わり、確実に趣味の世界へ影響を与える。
憂うべきことだ。
「学力低下など関係無い」などとは言ってられないぞ。


(2004.04.13追記)
円周率=3の騒動について、結局これはマスコミによるデマだったらしい。まったく人騒がせな話だ。
それにしても円周率は無理数であり、小数点以下どこまで行っても終わりは無い。そのことを表す唯一の手掛かりは、「.14」の部分である。もしも円周率=3として切り捨てるならば、円周率は3.0なのかと理解してもおかしくない。
重要なのは円周率を覚えることよりも、円周率がキッチリとした整数ではないことを知ることである。
我輩は小学生の頃、円周率を3.141592653589793238462643383279502884197169399375105820まで覚えた。これは、何かの雑誌に載っていたので、これ以上載っていたらもっと覚えていたはず。
小中学生の頃は、人を驚かせたり自慢したりするために覚えることは苦でも何でも無く、単に自慢するためのネタとして頭に仕込んでおいたものだった。今でもスラスラと言えるのは本当に驚く。
我輩は円周率=3.14によって、「円周率の割り切れない数の神秘性」と「人間の記憶力」の2つを学んだ。
得たものは大きい。