2000/04/05
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カメラ雑文

[857] 2016年01月06日(水)
「ネットオークションの価格」


ネットオークションを落札側の立場で眺めていると、たまに妙な値付けを見ることがある。
ここでは、我輩が今まで見てきたオークション価格に対する感想や、我輩の出品する際の値付けについてまとめてみた。

●低額出品
異様に安い出品物、例えば「1円出品」もよくあるが、それはオークションとしては別段不思議でも何でも無い。入札が続けば、いずれは相場に近い値段にまで到達するからである。こういうのは単に注目を浴びるための手法に過ぎない。
だから、出品コメントにて「1円出品なので瑕疵があろうともノークレーム」という記述をたまに見掛けるが、1円のままで終わるわけがないのだから何の言い訳にもならない。そこまで言うならば1円即決で送料無料とすべきであろう。

だが我輩が驚くのは、競争相手がいなさそうな物でありながら低額出品があるということ。
もし我輩がそれに入札しなかったら、ずっと入札されないだろうという出品物。それがたまたま欲しい理由があって入札すると、そのままの値で落札された。数千円のものもあれば、数百円のものもある。普通に考えれば出品や発送の手間がかかるだけで益が少なかろうとこちらが心配するほど。

中には、業者が運送会社と一括契約して1件あたりの送料を抑え、通常送料との差額で利益を出すという方法を採っている場合もあるようだが、個人出品での低額出品は趣味でやっているとしか思えない、あるいはよほど金に困っているのだろうかと思ってしまう。

またそれとは別に、例えば「カメラ」や「オーディオ」などの高額商品的なジャンルでも、異様に安い場合がある。もちろん、旧いモデルでは当時の定価が高くとも二束三文になるケースは珍しくは無いが(例えばフィルムカメラなど)、もっと高くてもいいはずの物が、かなり低い即決価格になっていることもある。これなどは出品者がその価値を分かっていないのか、あるいは価値があると知ってても、現実に誰も欲しがらないので下げざるを得ないのか。

ちなみに、我輩所有の「Nikon F3医療用ファインダー」はネットオークションで手に入れたが、1〜2万円で落札した記憶がある。これなどは競争相手がおらず、落札金額はオークション開始価格のままだった。
ファインダー倍率は高いくせに、入札倍率は低かったわけだ。

<オークションで入手したNikon F3医療用ファインダー>
オークションで入手したNikon F3医療用ファインダー

このファインダーは一般には出回っていないレアアイテムということで、我輩としては10万円は下らない価値を認めているが、それは逆に言えば、特殊用途のため一般撮影としての実用性は皆無。単に珍しいだけのアイテムでしかない。少なくとも「Nikon F3」というカメラに興味が無ければ、本当にガラクタにしか見えまい。

また他にも、日用品などで即決価格100円などというものもあったりして、これも送料で稼いでいるという話もあるが、それでも手間を考えると、考えられないような値段に思う。
もっとも、出品作業や発送作業が効率的に行えるような体制があれば、仕事としてやっていけるのかも知れない。

いずれにせよ、落札者の側からすると低額なのは有難い話。

●高額出品
高額出品とは、基本的に定価以上のものということになろうか。
以前、ジョークで出品された100兆円のタイムマシンが話題になったことがあったが、それでもオークション開始価格は数万円程度のものだった。入札が行われて結果的に100兆円になったに過ぎない。
ところが開始価格の時点で既に高いものがある。

定価よりも遥かに高い開始価格は、正規では手に入らない物だからこそなのだろう。よく聞くのがチケットの転売か。
つい先日など、限定100個の正月福袋(スターバックス)を行列先頭の1グループで買い占めてしまい、他の人間が買えなかったというニュースがあった。そして直後にネットオークションで10倍の値段で出品されたと聞く。

もちろん、荒っぽい転売ではなく、単純に骨董的な希少価値のある出品物もあるわけだが、しかしそれにしても高過ぎるものがあるので驚く。例えば、昔販売された巨大な特殊魚眼レンズが1千万円超という値段で出ていた。魚眼レンズそのものが特殊であるのに、その中でもさらに特殊な魚眼レンズである。

これなどは、「Nikonマニア」-「魚眼マニア」-「金持ち」という条件をクリアした者しか落札者となり得ない。あるいは、「学術用途のニーズ」-「公費予算確保」-「購入手段の認可(※)」という条件か。
(※購入手段の認可=通常は公費でのオークション落札は認可が下りまい)

1千万円級はなかなか落札されるのは難しいだろうとは思うが、それでも気長に待つということなのか。
一説では、最初から売る気など無く、単なる所有アピールだと言うが、本当だろうか?

●最低落札価格
ネットオークションでは、出品時に「最低落札価格」という設定を付けることが出来るが、これはどういう意味があるのか我輩には分からない。

例えば、開始価格が1円であっても、もし最低落札価格が10万円に設定されていたら、入札が10万円に達するまで落札されないという仕組み。1円スタートだからと喜んで入札しても、「最低金額に達しませんでした」とメッセージが出るのみ。しかも入札する側からは最低落札価格は見えず、入札しながら最低落札価格を探るしかない。そうやって入札を重ねると値が釣り上がっていくし、入札件数も増えて注目を浴びる。
このやり方、落札しようと思う側からすると姑息な手段に見えて少し癇に障る。

我輩が気付いた限りでは、奈良市にある某カメラショップがこの手法を多用しており、案の定、そのショップの評価はかなり悪い。
もちろん、最低落札価格を設定するやり方のせいで評判が悪いのではなく、低い価格で落札されたものを一方的に取り消すなど、その対応に悪い評価が付いているのだが、やはりこういうショップが取りたがる手法が「最低落札価格」ということか。

●出品立場としての我輩の値付け
我輩が出品する場合、その出品物が我輩にとって真に不要な物なのかをまず考える。
もし不要だとすれば、相場を考慮した安値を付ける。とにかく売れれば良い。発送の手間を考えると割に合わない値段となるのであれば、出品は諦める。大体5千円以下は出品のメリットは無かろう。その時は死蔵するか、あるいは廃棄とする。
例を挙げると、「OLYMPUS CAMEDIA C-700UZ」は売る価値も無しとして廃棄した。

一方、我輩にとって不要というわけではないが金策のためやむなく出品する場合、相場は考えずに自分の値段を考える。それは、「もし同じものが出品されていたら、我輩ならばどれくらいで買うか」という見方だ。
仮の話、我輩が安い値段でその品物をオークションに出品したとしたら、すかさず我輩自身がそれを落札してしまうだろう。
そしてまたそれを安く出品し、再び我輩がそれを落札する。
・・・これが無限に繰り返される。いわゆる、「平衡状態」。
結局それは、安さの閾値(いきち)を越えるまで、出品することが出来ないということになる。つまり、相場がどうこうの話とは関係無く、一定以上の値段しか付けられないのだ。

当然、相場を考えない価格では落札されずに何度も自動再出品(※)されるだろう。これは巷では「回転寿司」と呼ばれる状態である。
(※自動再出品=設定したオークション期間を過ぎても落札されないものは一旦終了するが、直後に自動的に再出品させる設定がある。)
だが回転寿司状態であろうとも、いつかは物好きがそれを見付けて落札するかも知れない。ネットオークションとは、巡り合わせなのだ。

回転寿司状態をいつまで続けるか。それはもう、自分の気が済むまでということになろうが、結局最後まで売れなかった場合、それはもう仕方無い。
自分にとって価値ある物を安値で売るということは、それは捨てるのと同じこと。

捨てるか、それとも死蔵するか。
どちらか選ぶというならば、我輩は死蔵を選ぶ。