2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[817] 2014年06月13日(金)
「ある雨の日のストロボ撮影」


豚児に習い事としての写真撮影をやらせようとしたことについては雑文716に書いたとおりだが、これまでのところ、豚児の写真撮影についての意識は大変低く、常に我輩が引っ張っていかねば物事が進まないのが現状。
写真撮影に限らないが、何か1つでも得意なものを持っておくことは、将来何かの自信に繋がることだと思うので、ここは何とか考えねばならぬ。

我輩の指導方針としては、とりあえず理屈や理論よりも、まずシャッターを押させることから始めた。
そして、撮影結果を通して問題意識を持たせ、それら問題の解決を考える方向へ持っていくことが狙いである。そこで初めて理屈や理論の必要性が生まれ、それらを学ぶことの意味も知ることとなろう。

ところが、ある時など「写真撮りに行くぞ」と豚児をクルマに乗せて出掛けたところ、現地に着いてから豚児がカメラを持ってきていないことに気付いた。我輩はてっきり、豚児の大きなカバンにカメラが入っているものと思っていたのだが、そのカバンを覗くと、そこには携帯ゲーム機の「Nintendo 3DS」や妙にデカい財布など諸々、撮影とは関係無いものばかり入っていて仰天した。
「お、お前、何しに来たと思ってるんだ・・・?!」
結局、「Nintendo 3DS」でも写真が撮れるということで、撮影をしたことはしたが、何とも締まらぬ撮影だった。

我輩としては、豚児が写真撮影に興味を持ち、ある程度の基礎技術を身に着け、我輩が放っておいても自分なりに苦労を重ねて精進出来るようになることを願っていた。しかし豚児の性格から言うと、そんなことは初めから無理な相談であったか。
我輩の撮影に同行させるにしても、最初から最後まで常に指導を必要とするのでは、我輩自身の撮影がおぼつかない。

そこで指導方針を180度転換し、最初は何も考えずに座学から始めるさせることとした。
古本屋で2〜3冊の写真初心者向けのガイド本を買い与え、シャッタースピードと絞りの相互関係と、そしてTv値・Av値それぞれの数値を覚えるよう指示した。
そして毎晩寝る前に、1/2秒、1/4秒、1/8秒・・・とかF1.4、F2.0、F2.8・・・などと書かせるテストを行った。

馴染みの無い数値を淡々と覚えるのは面白くないのは分かるが、小中学生は覚えることが仕事。我輩の子供の頃など、円周率の無機質な数字を50桁も覚え、それは今でもスラスラ言える。電話番号4桁すらすぐに忘れてしまう今の我輩では考えられないことだが、小中学生ならば可能なこと。

そうこうしているうち、関東地方が梅雨入りした。
雨が降る日が途端に多くなり、雑文814でも書いた雨中撮影の機会が増えると喜んだ。
見ると、豚児が暇そうにテレビを観ていたので、豚児にも雨中撮影を体験させる良い機会だと思い、今回近くの公園へ花の撮影に連れて行くこととした。
ただし豚児用カメラである「OLYMPUS E-410」とそのレンズは防滴仕様ではないので、ここでは我輩の防滴カメラ「OLYMPUS OM-D E-M5」と「Panasonic 12-35mm F2.8」を使わせようと思う。

特に風があるわけでもないので、我輩は傘を差しながらでも撮影出来るのだが、さすがに豚児は傘を差しながらでは難しかろう。今回は2人ともレインコートを着用して撮影に臨む。そうなると、首に提げたカメラはモロに雨に打たれることになる。
確かに防滴仕様なので心配は必要無いが、唯一、保護フィルター前面に水滴が着かぬよう豚児に注意を与えた。

<雨中撮影>
雨中撮影

ストロボはこれまでと同じくレジ袋を被せて雨に濡れぬようにした。乳白色の袋なので、少しはディフューズが効いて好都合。
花の種類も以前よりも増え、暗く沈みがちな雨中撮影を華やかにするストロボ撮影にも力が入る。
特にユリの花は是非撮ってみたかったものである。いつかユリの花が咲き乱れる植物園に行ってみたいものだが、まずここで練習してみたい。

<オレンジ色のユリ>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
オレンジ色のユリ

今回、ストロボのラジオシンクロユニットを豚児のほうにも装着し、2人で1つのストロボを共有使用した。
まず我輩が最初に撮影した後、その露出設定を豚児に伝え、同じ設定にて撮影させた。ここで、覚えさせたTv値・Av値が役に立った。「1/60秒でF5.6」と言えば、それなりにセット出来たのである。

<1つのストロボを2人で共有使用>
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雨中でのストロボ撮影は、定常光のジャマが入らないだけでなく、水滴が輝いて非日常的なドラマチック性が出るのが良い。
当然ながら、我輩と同じ設定で撮る豚児のほうも同様な写真となった。

この撮影では、豚児は何も考えずにただ我輩の言うとおりに撮影しただけなので、撮影テクニックや理論を覚えることにはならない。
ただ今回は、「撮り方次第で見違えるような写真になる」ということを体験させることが目的。「立派なカメラでなければ立派な写真が撮れない」というような、初心者にありがちな思い込みを無くすことに役立とう。

<撮影した写真>
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撮影した写真

それから、この公園に来ると必ず見に行くスモークツリー。豚児は「モフモフして動物の毛みたい」とお気に入りの様子。
雨の滴が細かい枝葉に付着しているところにストロボ光を照らすと、キラキラして幻想的。

<滴が輝くスモークツリー>
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滴が輝くスモークツリー

さて、公園内にある池に行ってみると、ちょうどスイレンが咲いていた。これこそ、雨に似合う花。
豚児のほうは、濁った池にボンヤリ見える黄色のニシキゴイの背を見て「謎の生物がいる」などとトボケながら写真を撮っていたので、我輩は自分の撮影をすることにした。
とりあえずスイレンを見た目のまま撮ってみるが、水面が暗く落ち込んで重たい雰囲気。もう少し、水面に透明感が欲しいところ。

<雨に濡れるスイレン>
雨に濡れるスイレン

そこで今回はちょうど良い機会なので、水中ストロボ撮影を試してみたい。
水中ストロボとは、その名の通り、水中にてストロボを発光させることである。雨を防ぐためのレジ袋を被せてあるので、ちょっとくらい水中を潜らせても大丈夫だろう、と水中に突っ込んだ。

シャッターを切ると、期待通り水中に閃光が走る。
初めての水中発光なので、色々と撮って効果を確かめ、その後フレーミングを整えて本番撮影とするつもり。

<水中ストロボに挑戦>
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水中ストロボに挑戦

水中がストロボ光で照らされて緑色鮮やかに写った。緑色に濁った水が効果的に光を拡散させるためであろう。澄んだ水ならばまた違った写りとなるわけか。
ただ、上からの照明が無くなってしまった。もう1つストロボが必要か。クルマに別のストロボがあるにはあるが、駐車場まで引き返すのが面倒。まあ、上からの照明が無いほうが水中照明が際立つだろうから、かえって好都合かも知れない。

<水中ストロボに挑戦>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
水中ストロボに挑戦

さて、水中での照明効果を確かめたので、最適な照射角度で本番撮影に移りたい。
フレーミングを正して改めてシャッターを切った。・・・しかし、なぜか不発。ラジオシンクロユニットの接触を確かめたりして2〜3回シャッターを切ったが、なぜかストロボが光らない。
そこでハッとして、水中のストロボを引き上げた。
見ると、レジ袋の中が浸水しているようだった。穴でも開いていたか? 高電圧の部品があるストロボだけに、これはマズイ。

ただ、大量に水が入った様子は無い。ストロボ筐体に水滴が付いているものの、電池室を開けても水が流れ出るようなことでもなく、手で振ってみたが水の音がするわけでもなかった。
もう一度電池を装填しスイッチを入れると、ストロボのパイロットランプは一応点灯する。しかし発光は出来なかった。

とりあえず、撮影を続けるためにクルマに戻って予備のストロボに替えた。
水中照明を続行したいのは山々なのだが、完璧な防水が出来ない以上、今回は諦めるしかない。

帰り際、小さく寂れた温室に入ってみたが、いつもと同じで何の変わり映えもない。しかし、照明を与えることで少し違った雰囲気を出すのが積極的ライティングでもあると思い直し、スタンドを立ててセッティングし、撮影した。
いつ来ても誰もいない小さく地味な温室だけに、ストロボによる光が良いアクセントとなった。

<寂れた温室に一つの光>
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寂れた温室に一つの光

帰宅後、冠水ストロボの調整にとりかかった。
改めて電池室を見ると、水滴が2〜3滴ほど見えている。大量の水が入ったようには見えないが、それでも内部に水が入ったことは確か。

この状態で電池を装填してスイッチを入れてみたところ、チャージ音がしてパイロットランプが点灯した。だがやはり発光は出来なかった。
回路が完全に死んでいるわけではないということか。もしかしたら、分解して水気を取り除けば正常に動作するかも知れない。

どうせ現状のままでは使えないので、それならば分解してみるか。
ストロボは高電圧回路を含むことから、シロウトが分解するのは危険であるという話。しかし気を付けてやれば問題無かろう。

<ストロボを分解>
ストロボを分解

本体部分の回路は特に濡れているようには見えなかったが、やはり何度やっても発光しない。パイロットランプが点灯するだけに何とか復活させたい。

そこで発光部のカバーを開け、キセノン管周辺を念入りに拭いて乾かし、再度電池を入れて発光テストを行ったところ、今度は何事も無かったように発光した。
恐らく、発光トリガー関係の回路のみがショートし、チャージは出来るものの発光は出来なかったのかと思う。低電圧部分の回路のショートため回路破壊にまで至らなかったようだ。おかげで助かった・・・。

我輩はホッとして、改めて電池を抜き、ストロボを元の状態に組み付けることにした。
巨大なメインコンデンサー接点に気を付けながら基板をハメ込む。構造が入り組んでいるのでなかなか難しいところだが、基盤を持ち替えようとしたところ、いきなり「バンッ!」と机を激しく叩いたかのような破裂音がして白い煙が立ち昇った。
我輩は一瞬の間、動けないでいたが、ふと我に返って回路を見たところ、見事に基盤が焦げているではないか。

ダメだろうとは思ったが、念のため焼けた回路を繋ぎ、電池を装填してスイッチを入れてみたが、回路は完全に死んでいるようで、もはやチャージ音すらしなかった・・・。
敗因は、メインコンデンサーの接点ばかり気にして、他のところが疎かになっていたためだった。今さらどうしようもない。
これにより有用なストロボ「SUNPAK B3000S」を1つ失ってしまい、新たに調達するハメとなった。調達費用は送料を含めると約7千円。損害金額とも言える。

この次に水中照明する時には、防水対策をしっかりと行い、ジャンクストロボを使って挑戦したい。