2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
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 K1000
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 MZ-5
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OLYMPUS
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CONTAX
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MINOLTA
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 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[333] 2002年02月11日(月)
「時間を掛けた買い物」

我輩が趣味としての写真をはじめたのは小学生の頃だったと思うが、自分専用のカメラを手に入れたのはかなり後のことである。その理由は当然ながら、「金が無かった」の一言に尽きる。
ただ、自分専用のカメラを持たなくとも、写真やカメラに対する知識は蓄えつつあった。それは、買えぬ恨みをカタログを眺めることで解消していたからだ。到底手に入れることは出来ない高級機であっても、機能は全て把握していた。

金が無いとは言うものの、中学生になると小遣いを貯めてカメラを買おうと思った。念願のカメラを手に入れるために、紙に描いた千円単位のマス目を毎月3つずつ塗りつぶしながら、満額になるのを楽しみに待っていたものだった。クリスマスプレゼントには現金支給を要求し、お年玉の時期と併せてどれだけマス目の塗りつぶしが増えるかを予想した。

本来ならばカメラ本体と交換レンズを一括りにすべきなのだが、当時は少しでも目標を小さく刻んで達成したかったため、ちょうど1万5千円に達した時にレンズ無しの一眼レフカメラボディのみを購入した。
交換レンズの無い一眼レフなど今ならオモチャにもならぬが、当時の我輩としては、とにかくシステムの中核となる一眼レフのボディが手に入るだけでも大きな一歩であった。

このように長い時間をかけて買い揃えていくカメラ機材は、無駄なものが一切無い。そもそも必要な機材すら不足しているのであるから、それは当然。
貯金をしていくうちに、自分にはもっと別の機材が必要だと気付く時もあった。実際の撮影で不足していたこと、カタログなどで仕入れた知識で広がった視野。長い時間を掛ける意味がそこにあった・・・。


さて、ここ数年、知り合いの中で大人になってから写真を始める者が何人かいた。
全員というわけではないが、多くはカメラ機材をまとめて揃えようとする。そういう者は決まって「どんなカメラが良いか?」と訊いてくる。それは、自分に適しているカメラを模索しているという風でも無く、ただ単に「一番高級なカメラはどれだ?」と訊いているようだ。恐らく、「一番良いカメラを買っておけば間違い無かろう」という発想であろう。

しかし、自分のカメラくらい自分で決めたほうが良い。そんなのは貯金をする間にゆっくりと決めれば良いのだ。時間をかけてカタログを集め、自分がそのカメラを使っている姿を想像する。そんなイメージを膨らませながら、徐々に自分の必要とするカメラに辿り着く。時間さえかければ、行き着く所には行き着くもの。趣味を急ぐ必要など無い。自分で決めたカメラならば、愛着も一層深いだろう。

ただ、金銭的に余裕のある社会人ならば、まだ何も分からぬうちから道具だけを買い揃えがちである。事前に製品を吟味したりするのが面倒なのか、金にモノを言わせて最高級機をポンと買い揃えたりする。今必要無いものや自分に必要になるか分からないものでも、後でまた買うのが面倒だという理由でゴッソリとまとめ買いをする。
その結果、自分に不要な機能に翻弄され、趣味としての向上する喜びを味わえぬまま、「自分が満足しているのだから良い」などと無理矢理自分を納得させて正当化しようとする。本当にそれでいいのか。

今一度、買い物の前には少し時間を置いて本当に必要なのかを吟味する余裕を持つように心掛けたい。