2000/04/05
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カメラ雑文

[182] 2000年11月22日(水)
「自作DOS/V機のすすめ」

ここはパソコン関連サイトではないので、あまりこのような話題は馴染まないかも知れないが、前回の雑文の補足として書いてみた。
パソコンの達人ならば、「言われずとも分かっている」というものであろうかと思うが、とりあえず参考情報として捉えてもらえればいい。


<まず最初に結論から>

我輩の考えでは、写真画像を取り扱うのなら自作DOS/V機(PC/AT互換機)が適している。なぜなら、写真のような巨大画像を取り扱うには、パソコンの性能が貧弱というのは致命的である。
しかし自作DOS/V機なら比較的安価に高性能が得られ、拡張性も格段に高い。


<他のパソコンと比較>

さて、パソコンには幾つかの種類があり、自作DOS/V機の他に「市販DOS/Vパソコン」と「Mac(マッキントッシュ)」がある。
NECの「PC-98」というのもあったが、今は絶滅しているため考慮しない。

「市販DOS/Vパソコン」は最もメーカーが多く、価格も安い。しかし、余計なソフトが詰め込まれていることが多く、そのためにせっかくの性能がスポイルされている。
最適な環境を構築するためOSからインストールし直そうとしても、メーカー独自のユーティリティソフト(環境設定用ソフト)などを必要とする場合もあり、処理スピードと引き替えに使い勝手が悪化する場合がある。
また、そのような独自ユーティリティソフトはOSのアップグレードに対応しないこともあり、注意が必要。
本当に安い製品などは、電源部容量が必要量を下回っているというような信じられないようなこともあり、新たな増設を行うと起動すらしないこともある。最悪の場合、火災の危険もある。

もし画像処理用として使うなら、ハイエンドクラスを狙うしかないだろう。そのかわり、他の余計なものもハイエンド志向となり、不必要な性能にまで出費を強いられる。つまり無駄が多い。
当面必要もないような「DVDドライブ」、「MPEGエンコーダ」、「3Dグラフィックボード」、「3Dサウンドボード」、「TVチューナ」などに金を使うくらいなら、メモリを増設したりCPUをアップグレードしたほうがいい。
自作DOS/V機ならば、必要な部分だけの性能を突出させることが可能なのだ。


次にMac(マッキントッシュ)について。
一時期、「画像ならMacだよ」と言われていたが、これは2つの意味がある。

1つは、元々GUI(グラフィカルな操作体系)はMacOSが最初に採用し、そのOS上で動くグラフィックソフトが豊富に存在したということが理由である。しかし、現在ではWindowsとその上で動くソフトはMacと遜色無いものとなった。

もう1つは、カラーマネジメントのことだ。ディスプレイ画面の色と印刷物の色を同じものにするには大変な努力が必要である。Macが初めて印刷業界で導入される時、それは大きな問題だった。しかし今ではMacが印刷業界での標準となり、Macのカラーマネジメントによって印刷物の色を指定するシステムが確立されている。そういう意味で、「画像ならMac」ということが言われる。
しかし、今ではWindowsベースのDTP(デスクトップパブリシング)も徐々に浸透しつつある。顧客から画像データを直接支給される機会も多くなり、それらのデータの多くがWindowsベースであることから、これは当然のことだろう。

さて、これでMacとWindowsが並んだことになるが、ここではさらにMacの悪口を書く。

Macはソフトも高価(気軽なソフトが少ない)なうえ、マウスがワンボタンで操作性がすこぶる悪い。もちろんホイールマウスなども無い。それゆえ、片手は常にキーボードの上。マウスに右ボタンさえあれば、すぐにメニューダイアログが表示できるのだが。まるで1つのボタンに幾つもの機能を詰め込んだAFカメラのようだ。効率がなかなか上がらない。

ハードウェアの拡張に関しても、ユーザーサイドのメモリ増設は「保証外」となってしまう。純正でないメモリなどもってのほか。我輩のMac(Power Macintosh 7600/120)は中古であるから構わず自分で増設したが。

しかも、現時点でのMacOSはマルチタスクでないので、同時に複数のソフトを動かすのが難しい。Windowsならば、擬似的なマルチタスクとは言え、バックグラウンドでの同時処理が可能となる。
同時に複数の作業をしない者には有り難みは無いかも知れないが、これは大きな違いである。
我輩の行っているカメラカタログのスキャンについては、複数のカタログを同時に作業する場合が多い。それぞれ「スキャナ作業」「画像縮小・減色」「マルチドキュメント化」の工程を分けて同時処理する。つまり、カタログAをスキャン中の時、同時にカタログBの減色処理が行われ、また同時にカタログCのマルチドキュメント化が行われているということになる。これらは全てバッチ(一括)作業で行い、手作業をしない。


<何の性能が必要か>

通常、パソコンの性能を見る場合、CPUの性能ばかりに目が行くだろうと思う。しかし、ここではCPUよりもメモリやハードディスクの容量のほうが重要である。

CPUの性能が多少低くとも、時間さえ掛ければ何とか処理が完了出来るだろう。しかし、メモリやハードディスクの容量が小さければ、途中で処理不能となる場合が発生する。十分に性能が低ければ最初から画像が取り込めないのだろうが、生半可な性能だと、取り込んだファイルを保存出来なかったり、サイズを縮小出来なかったりして立ち往生するのだ。その結果、せっかく取り込んだ画像を放棄することになる。

そもそも、パソコン上で大量のメモリを消費する作業を何度も行えば、メモリ領域が細分化されリソースが足りなくなる。そうなると、「メモ帳」すら立ち上がらなくなったりする。

制限速度が80キロの高速道路を走るのに、最高速度80キロちょうどの自動車を走らせる者はいないだろう。同様にパソコンでも、要求された性能があれば絶対に安心というわけではない。やはり可能な限り性能には余裕を持たせるべきだと考える。

メモリが足りないと、OSはハードディスクの領域をメモリ代わりとして使う。これがスワップ(仮想メモリ)であるが、メモリよりも格段にアクセスの遅いハードディスクへスワップが発生すると作業効率が極端に低下するため、それを回避するにはメモリ増設しかない。
「フォトショップ」などで複数のドキュメントやレイヤーで作業するならば、少なくとも128MBのメモリは必要となろうか。写真画質を扱うなら512MBは欲しい。今なら128MBのDIMMメモリが1万円前後で手に入るので、4万数千円でこの環境が整う。今どきのパソコンなら512MBくらいは拡張出来るだろう。
もしメモリ増設が対応外でも、メインボード(マザーボード)を交換すれば問題無い。それこそ1GB以上のメモリが積めるようになる。


<なぜそんなにメモリが必要か>

画像ファイルの容量が10MBだからと言って、必要メモリも10MBで済むわけではない。ちょっと考えただけでも次のような要求がある。

(1)画像本体を収める量(複数ファイルを開く場合もある)
(2)コピー&ペーストに必要な量
(3)画像加工を施す履歴
(4)レイヤーの情報

当然、OS本体が使用するメモリ容量が不十分ならば、スワップが発生して効率を格段に下げる。
CPUの速度を2倍にしたとしても処理全体がCPUをフル稼動させているわけではないので、単純に作業効率が2倍にはならない。しかし、メモリ容量を増やせばスワップ頻度が確実に減るため、数十〜数百倍の効率アップが望めるのだ(元々スワップ頻度が低ければ効果は低いが)。


<そもそもなぜそんな大きな画像が必要か>

「Webでしか使用しないので大きな画像を必要としない」という考え方もある。しかし、どうせ手間を掛けてスキャンするならば、二度とスキャンしなくてもいいようにデジタル原版を作ったほうが効率が良いと思う。そうでなければ、将来的にもっと大きな画像が必要になった時、再び同じ写真をスキャンすることになる。
スキャンの手間とは、スキャニング時間だけではなく、原版写真のセッティングや色調整など細心の注意を要する部分が大きい。
色調整などは、前回スキャンした画像と全く同じにすることは至難の業。もし微妙に違えば、どちらを「正」とするか悩みを抱えることになる。
そういう手間は1度で済ませておきたいものだ。


<結局のところ>

ハードディスクは日々性能が向上している。今では30GBなどは1万5千円くらいで手に入る。80GBでも5万円以下だ。ただし、これら汎用品はMacや市販DOS/Vパソコンに使えるかどうか分からない。普通は「純正品以外はサポート外です」となるが、純正品ではかなり割高となろう。
しかし、自作DOS/Vパソコンならば、汎用品の恩恵が受けられる。もしインターフェースが違っても、インターフェースそのものを増設すれば接続可能となる。DOS/Vパソコンのパーツの規格は全世界共通のため、必要となる周辺機器はどこかにあるものだ。

新しいパソコンを買い換えると言っても、余程グレードを上げない限り、ディスプレイやフロッピーディスク、CD-ROMドライブ、キーボード、マウス、メモリなどは同じようなもの。それならばちょっと勉強して、本当に必要な部分だけを強力にグレードアップできるように自作DOS/Vパソコンにチャレンジしてみたほうが良いと思う。

どうせ、メーカーのサポートなどあてにならぬ。DOS/Vパソコンの自作は、最初は色々な失敗もあり、予想外の出費となることもあるかも知れないが、トータルコストは格段に自作のほうが低い。

勉強が必要だと書いたが、どのみち、パソコンで画像を扱うならそれなりの勉強は必然だろうがな。それはカメラも同じか。