2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
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カメラ雑文

[163] 2000年10月20日(金)
「要するに、使い方の問題」

最近のカメラは自動化が進み、更にデジタルカメラの出現によって手軽に画像を得ることが出来るようになった。
こういった流れによって、どんどん便利になっているということは間違いない。心得のある者が使えば、どれほど頼りになる道具であろうか。
しかしそれらを思想無く使えば、安易な方向へ流れがちとなる。問題は、それらの機器の善し悪しではなく、どのようにそれを使いこなすかが重要である。
ここでは、いくつかのケースについて考えてみた。


「単焦点レンズとズームレンズ」
近頃はズームレンズの描写性能も向上し、金さえ出せば大口径の明るいズームレンズも手に入る。レンズラインナップもズームレンズが主という感じで、カメラを買う時にはズームレンズを一緒に付けるということが当たり前になった。
ズームレンズの製品自体について否定的な要素は1つも無い。任意の焦点距離を選べる非常に便利なレンズだ。
しかし、思想無く使えば、安易で中途半端な画面になる。自分が今何ミリにセットしているのかさえ分からずに撮ってしまう。結果、そのレンズの焦点距離に応じた効果も生かせない。


「MFとAF」
AFが出た当初は、画面中央でしかピントが合わないものだった。当然、思想無く撮れば、常に被写体が真ん中に配置されてしまう。
最近は中央以外でもピントが合うカメラが出ており、人間の能力を越えたスピードも持っている。AFをうまく使えば、ピントの失敗は確実に減るだろう。
しかし、ピントは1点(カメラに対向した面上)にしか合わない。どこにピントを合わせたいのかということを考えずにカメラ任せにすれば、自分の表現したいポイントも曖昧になる。
撮影後、「あれ、さっきどこにピント合わせたっけ?」と考えるくらいならば、まだ救いがあるが。


「自動露出とマニュアル露出」
自動的にカメラが露出を決定してくれれば、人間はシャッターを切ることに集中出来る。最近の測光精度は素晴らしく、ヘタに手動で合わせるよりも正確だったりする。
しかし、ただ単に「面倒だから」という理由で自動露出に任せたのであれば、本当にそのシャッタースピードと絞りの組み合わせで良かったのかという疑問が残る。もしかしたら、もっと効果的な組み合わせが他にあったのかも知れない。後で考えてみても、撮影時に吟味し意識して露出を決めたわけではないのだから、自分が納得することはない。


「デジタルカメラと銀塩カメラ」
便利さではデジタルカメラのほうが圧倒的。だが、そこに罠がある。
デジタルカメラでは、失敗写真があればその場で判明するため、かなり安心して撮影を進めることが出来る。その面では効率的だと言えよう。
しかし、思想が無ければ気の弛みが起こる。
その場で失敗が判らない銀塩カメラならば気を入れて撮っていたのだが、デジタルカメラでは何も考えず、ただ結果だけを見て微調整しがちになる。
我輩は、外部ストロボを使って撮影する場合、いつもならばフラッシュメーターで測定するところだが、デジタルカメラで撮る時は液晶画面で結果を見ながら光量や絞りの調整をする。フラッシュメーターなどは使わない。その結果、デスクトップPCのディスプレイで見ると、影の部分の描写がツブれていたり、ハイライトがトンでいたりする。
そのような安易な撮影方法では、液晶で確認出来ない部分のことは切り捨てることになる。
更には「パソコンで調整すればいいや」と考え、それによって微妙な階調を殺してしまう。


結局、道具を生かすのは使う人間の側である。使う人間に明確な目的があれば、道具は頼もしい味方となるだろう。
もし明確な目的が無いのであれば、高級な自動カメラよりも低級な自動カメラのほうが、余程お気に召す写真が撮れると思うが。