2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[062] 2000年 6月21日(水)
「現時点での電子写真」

以前にも書いたが、いくらデジタル画像のデータ量が増えようとも、それが表示出来ないのであれば意味が無い。
パソコンのCRTでの一般的な解像度は、72dpiである。最近でも、平均96dpiくらいしかない。
ちなみに、印刷物の線数をdpiに換算すると、300〜400dpiになる。

(※dpi=1インチの線分上にどれだけのドット(点)が表現できるかという尺度)

当然、CRTのような低解像度では、高精細な写真は表現することが出来ない。そこで期待されるのが、TFT液晶である。
最近、低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイが実用化された。これは、今後2年以内に200dpiの製品が発売されるだろうと予測されている(試作では200dpi達成)。

(※低温ポリシリコンTFT液晶=ガラス基板上に駆動回路を直接生成させることができ、微細配線と高速応答が可能となる液晶ディスプレイ)

そうなると、やはり液晶の発達が、電子写真の可能性のカギを握るのかも知れない。ただし、今のTFT液晶を見る限り、色の再現性(色数のことではない)に問題がある。一律にカラーバランスがズレているだけならグレーを調節すれば良い話だが、液晶では「あちらの色を合わせればこちらの色がおかしくなる」という状態になる。ノートパソコンに実装されている液晶では、そもそも色調整が出来ないものも多い。

視野角も問題で、現在のTFT液晶の視野角はかなり広がっているとは言うものの、意外と上下の視野角は狭いままだ。これは、上から見ると白く見えたり黒く見えたりすることになる。
液晶パネルのモジュールをパソコンやディスプレイに実装する場合、メーカーによって「上から見ると白く見えるようにする」場合と「上から見ると黒く見えるようにする」場合がある。単に、パネルモジュールの上下を逆さまに実装するだけだが、それによって見栄えがかなり変わる。

視野角の問題は、自身が発光するプラズマディスプレイや有機ELディスプレイの登場を待つしかないのだろうか。
ちなみに、プラズマディスプレイの場合は画素密度の向上は難しく、高精細写真を表示させるためには大画面化が必須となる。狭い住宅では、少し厳しい。

いずれにせよ現時点では、個人レベルで写真を電子化するのは「将来的な備え」という意味合いが強い。プリントアウトするにしても、実際に見れば分かるが、いくら「写真画質」とは言っても写真と同じようには出力できない。出力センターに持って行っても、ピクトログラフィーなどの昇華型プリンターでやっと見られる程度だ。しかも出力物の耐候性は良くない。


・・・とまあ、批判ばかりの口調だが、実を言うと我輩は積極的に写真の電子化を進めたい人間である。しかしそれゆえ、その実現のためには周辺技術があまりに遅れていることを痛感している。中でもディスプレイの問題は深刻なのだ。
進歩したとは言っても、全てが相対的な評価でしかない。所詮、「液晶にしてはキレイだ」とか、「昔に比べればキレイだ」というものなのだ。絶対的に求められる写真クオリティには程遠い。プロレベルかアマチュアレベルかという高い次元の問題ではなく、本当に使えない。

他に無いのか? 液晶に代わる、もっと画期的な発明は・・・。